中島みゆきの世界
中島みゆきさん、愛聴してます。
この方の楽曲は哲学書を凌駕する深みが漂います。
生きるとは何かを知ってます。
最新アルバムの最後の楽曲「夢の京(みやこ)」に全てが込められてます。
夢の京に帰ろうもう無い国に帰ろう
「もう無い国」とは絶対の世界、私流の解釈は「あの世」です。
中島さんは不安のない世界にいずれ戻るのだから怖れることはないと歌ってます。
人生の応援歌を歌う第一人者の面目躍如の一節です。
もうひとつの顔は情念の語り部です。
男女の恋愛感情の表現に象徴的に現れています。
中島さんの歌にはストレートな恋愛表現は見当たりません。
知る限り「糸」が唯一の楽曲です。
たての糸はあなた、よこの糸はわたし。
率直です。
他の曲は心の闇の世界の歌い手です。
「悪女」は典型です。
彼氏に別の恋人がいることがわかり別れるためわざと悪女のふりをします。
ひねった心理描写です。
どうしたらこういった楽曲をつくれるのか不思議でした。
手がかり見つけました。
1992年11月号月刊カドカワのインタビューです。
ユーミンについて語ってます。
「ユーミンにはダンナがいる。そこが違い。」とはっきり言ってます。
身近に愛する人がいるユーミンと自分との違いをあからさまに語っています。
ユーミンにはご承知の通り松任谷正隆さんという伴侶がいます。
画に描いたようなラブストーリーで結ばれました。
おしゃれな名曲の数々はふたりの創作作業の結晶です。
意見が対立した時はユーミンの方が譲るということです。
中島さんのコメントは”幸せ”に対する複雑な心情があるように思います。
わかれ歌を通じてそうした感情を表現しているのだと思います。
人生の真理を歌う哲人歌手中島みゆきも人の子であることが伺えます。
気難しく骨太のイメージの中島さんからいじらしさがほのかに垣間見えます。
年輪を重ねた中島さんがこれからどんな楽曲を世に問うか楽しみです。
恋を歌う歌姫にアッと驚く大変身をしたりして…。