「突破する力」

(写真は、NPO法人 「ティーチフォージャパン」のホームページから)

朝日新聞の日曜版、毎月第1と第3日曜日に「グローブ」というタイトルの紙面が配られます。グローブは英語で地球のことですので地球規模の話題を取り上げてます。

「突破する力」という見開き二面を使ったページがあります。地球規模の発想で活躍する挑戦者たちを関わった人たちへのインタビューを交えて追いかけています。

3月2日の最新号では、30代の日本人ドキュメンタリー映画監督を取り上げていました。三宅響子さん、ロンドン在住です。東日本大震災の作品などが評価されています。

昨日、朝日新聞のグローブ担当記者が我が家にやってきました。1時間半ほど取材を受けました。開成町長時代に応援したある若者について聞かれました。

松田悠介さん。中学校の体育の先生から転身してハーバード大学に留学。そこで見た「ティーチフォーアメリカ」というNPOが彼の人生を一転させました。

このNPOは、アメリカの一流の大学生や大学院生を低所得者の集まった学校に派遣して教育支援を行っています。派遣された学生にとって大きな人生体験となります。

一方派遣を受けた学校現場にとっても優秀な学生が教育の手助けをしてくれることは力となります。双方がいわゆるウィン・ウィンの関係となっています。

「ティーチフォーアメリカ」は、アメリカの学生たちの就職ランキングのトップクラスにあります。松田さんはこのシステムを日本でも取り入れられないかと思い立ちました。

2010年の確か秋口だったと思います。知人の紹介で松田さんが開成町役場を訪ねてきました。熱く熱く理想を語っていました。

話を聞いているうちに試験的に開成町で受け入れようと決断をしました。私は、翌年の3月に県知事選挙に出馬し町長を退きましたが2年間松田さんのプログラムを実施しました。

1年ごとに別々の若い学生が開成町の中学校などの教育支援を行いました。補助教員としての受け入れです。優秀だったと担当者から聞きました。

開成町での取り組みが全国で初めてでした。松田さんは、現在、全国に2、30人の学生を派遣して教育支援を実施しています。挑戦は続いています。

「どうして応援しようと思ったのですか。」と聞かれました。純粋な情熱が松田さんにはありました。しかし、それだけではありませんでした。

言葉には表せない何かを感じたからとあいまいな答えをしました。松田さん、20代後半でした。魂レベルで響きあう何かがありました。

私も挑戦し続けている人間の1人と思ってました。同志みたいなものです。正直危なっかしい感じがしましたが、若者の挑戦を支援することが私の責務だと思いました。

松田さんは今も金策で走り回ってます。日本とアメリカでは寄付の文化が全く違います。継続するのは並大抵のことではありません。でもへこたれていないと聞きました。

本来ならば松田さんのような新たな挑戦をもっと地方自治体や国が支援しても良さそうあものです。日本の行政は、新しい試みに対して後ろ向きです。残念でなりません。