東大の学費論争にひとこと
私は1975年4月東大の文科3類に入りました。
授業料は3万6千円でした。
学費値上げ反対のストライキが呼びかけられてました。
前年度まで1万2千円だったからです。
1、2年時の教養学部時代は高校の同僚と一緒に駒場寮の一室を借りてました。
タダ同然の寮費だったと記憶してます。
恵まれた教育環境に甘えあまり講義に出ませんでした。
国費で支えてもらっていたのに後ろめたい気持ちです。
東大の学費は現在54万円ほどです。
高くなったと目をむきます。
10万円程度値上げとの話が持ち上がり議論となってます。
良好な教育環境を維持するための負担増というのが大学当局の言い分です。
国立大学も指定国立大学法人となり独立色が強まってます。
自主性の確保の建前の一方で大学独自の努力を文科省から求められていると想像します。
自助努力で財源確保を図れという無言の圧力があるはずです。
その結果が値上げ論争になったと思います。
学費を一律で上げるとは考えていないようです。
奨学金制度の充実とセットだとの説明です。
一般論で判断するのは困難です。
具体の制度設計を明確にしてでないと関係者でも賛否は決められないと思います。
東大生の保護者の所得階層は高いとよく言われてます。
アエラの2023年3月号によれば40%が1千万円超と書かれてます。
出身高校も毎年難関私立校がずらりと並びますのでさもありなんと思います。
10万円程度の値上げなど痛くもかゆくもないならば値上げもありです。
しかし家庭が苦しく学費の捻出がままならない層への配慮は不可欠です。
学費を値上げした場合の具体の制度設計の明示が絶対条件となります。
制度設計をあいまいにしたまま値上げありきで進むことは断じて避けなければなりません。
家計が苦しい家庭の学生を排除するとしたら国立大の存在意義に関わります。
公平な授業料の制度設計で多様な学生を確保することです。
多様性こそ東大の底力を維持する道だと思います。