「背中」で高い理想を示せる政治指導者不在の国、日本
「おやじの背中」という言葉があります。
最近影が薄くなっているように思います。
作詞家の阿久悠さんは「武士は階級、サムライはスピリット」と言いました。
「おやじの背中」が見せているのはスピリットの方だと思います。
私は元帝国陸軍軍人で年が40歳以上離れた父に育てられました。
父は恐怖の存在であり威厳の源でした。
直接意見言えるようになったのは私が就職してからのことです。
父は私が28歳の時に死にました。
それでも「背中」を通じ教えてくれた精神はその後の人生の基軸となりました。
一言でいえば「負けてたまるか」精神です。
「おやじの背中」がスピリットだとすれば「おやじ」でなくてもよいことになります。
強烈なスピリットを示された女性がいます。
国連の難民高等弁務官を務められた緒方貞子さです。
クルド人難民を救済するためアメリカのジョージ・ブッシュ大統領に直談判しました。
世界の最高権力者を説得しアメリカ軍によるクルド人難民の保護につなげました。
この胆力たるや並大抵ではありません。
おやじも負けてません。
戦乱後の疲弊したアフガニスタンの救援活動に尽くした中村哲さんです。
医者でありながら日本の旧来の灌漑技術を学び大地を潤しました。
超人的な努力です。
両者に共通しているのはこの人のあとについていきたいと思わせることです。
心から尊敬できます。
これが「おやじの背中」の本質だと思います。
背中から発する高い理想が魂を揺さぶるのです。
日本の国是は平和主義で武力で牛耳る国家を目指していません。
背中で高い理想を示すことができる指導者がいなければなりません。
岸田総理の背中から高い理想を感じ取ることができますか。
どこか他人事のような言動に落胆しませんか。
最高責任者が評論家になってしまってはおしまいです。
これでは「背中」はただの「背中」でスピリットは醸し出せません。
緒方さんや中村さんのような政治指導者不在なのです。
日本の危機の源泉です。