若き挑戦者たちを受け止めるのは大人の責任です。

朝日新聞の日曜版、「グローブ」に「突破する力」という連載があります。毎回、世の常識を跳ね除けて挑戦している人を紹介しています。

昨日は、松田悠介さんでした。30歳。中学校の体育の教師から一念発起してハーバード大学の教育大学院に留学、帰国後、NPOを立ち上げました。

アメリカでは、教育を展開するのが困難な地域の学校に優秀な大学生たちを派遣して教育現場を支援するNPOがあることを知りました。

ティーチフォーアメリカというNPOです。松田さんは、そのNPOに就職することはアメリカの大学生の憧れの的になっているということに衝撃を受けました。

日本でもできるはずだという信念から松田さんの挑戦が始まりました。ティーチフォージャパンというNPOを立ち上げました。2009年のことです。

松田さんに上限していたリクルートキャリア社の社長は、「彼には『何とかするんじゃないか』と思わせるにおいが漂う。」と印象を語っています。

松田さんのことで朝日新聞から取材を受けたことは、ブログで既に紹介させていただきました。実際に掲載された記事を見ました。上手にまとめてありました。

2010年の秋、初めて松田さんに会いました。開成町の町長室でした。即座に受け入れたいと思いました。すぐに教育長に受け入れる方向で段取って欲しいと指示しました。

なぜそのような決断をしたのか、記事は私へのインタビューに基づいて「彼には無骨な光があった。ピュアな挑戦を放っておけなかった。」と書いていました。

全くその通りでした。情熱を込めて訴える松田さんの姿勢にこちらの心が刺激されました。開成町が日本で初めて松田さんらの取り組みを受け入れる自治体となりました。

松田さんは、記事の中で自分が持っている力の中で上位三つの力を上げています。トップは運でした。本人はたまたまの連続と謙虚に語っています。

しかし、実態は、周りをその気にさせますので運を引き寄せるのだと思います。本人の強い決心がまず先にあることが大事です。結果として幸運に見えるのだと思います。

開成町では、2011年度から2年間教員の卵の大学生を受け入れました。教育長にも感想を聞きましたが学校現場の評判も良かったということです。

今年度から松田さんは教員の卵ではなく教師を派遣する方式に切り替えました。教員免許の存在の有無を重視したのだと推測します。人件費は跳ね上がります。

記事によれば松田さんのNPOと協力関係にある市町村はまだ10市町村に過ぎないということです。財政上の問題もあると思いますが教育委員会の保守的な体質もあると思います。

新しいことに挑戦しようとする若者が大勢いてもそれを受け止める側が弾いてしまっては芽は出ませんし育ちません。大人たちの側の姿勢も極めて重要です。

(記事は、朝日新聞デジタル http://globe.asahi.com/breakthrough/2014040300002.html)