日本らしさを活かした街区を創る

建築界のノーベル賞と言われるブリツカー賞があります。
今年の受賞者は横浜市在住の山本理顕さんで日本人としては9人目です。

15日の日経新聞日曜版に山本さんの特集記事が掲載されました。
冒頭の言葉が刺激的です。

「私がブリツカー賞を受賞すると思った人は少ないと思う。特に日本では建築業界全体が相当衝撃を受けたのではないか」。

私は門外漢でブリツカー賞は知りませんでしたが驚いたひとりです。
山本さんにお会いしたことがあるからです。

コロナがまん延し出した2020年神奈川大学は全面的にリモート講義になりました。
まちづくり講義のテーマを「横浜のカジノ問題」に設定していました。

リモート講義に変更を大慌てでゲスト講師にお願いに回りました。
そんな中のおひとりが山本さんでした。

山本さんはカジノ開発の代替案を示されました。
大規模施設ではなく住居兼店舗の集合街区にするというユニークな発想でした。

海沿いのふ頭を国際都市の横浜らしく国際色豊かな街区にと提案されました。
大規模施設の先入観が強く私もリモート講義を受けた学生もついていけませんでした。

日経新聞の特集記事によると山本イズムの真骨頂は地域とのつながりです。
店舗兼住宅の街区は地域そのものを創造する試みです。

当時はそこまで深い視点でとらえることができませんでした。
不明を恥じます。

山本さんの建築について「哲学者の行為である」と受賞団体の会長が語ってます。
現代の機能優先の建築のありように異議を申し立て時代の先を走っているように見えます。

アメリカの団体はそこに着目しました。
時代は変わったと警告されたようなものです。

長屋のような建築様式を持ち地域とのつながりを大切にしてきたのは日本の伝統でした。
足元を見つめ直せと指摘されたとも受け止められます。

開成町では駅前に新たな街路を計画しようとしています。
山本さんのビルではなく店舗兼住宅をという発想も大いに参考になると思いました。