地域発のささやかな国際貢献

バルカン半島諸国から治山・治水の研修ため訪日団が来日中です。
JICA=国際協力開発機構が国際協力として行っている事業です。

研修を請け負った国際航業から足柄の歴史再発見クラブに対応可能かと打診がありました。
国際交流のお手伝いができるのは光栄ですので受けることにしました。

他の研修先は専門的な研究機関や行政だと伺いました。
我々は民間の歴史研究団体ですのでその特色を前面に出すことにしました。

酒匂川の治水の歴史を説明し伝統的な治水方法の優れた点を強調することにしました。
おもてなしにもひと工夫しようと知恵を絞りました。


10日午前、一行30人ほどが会場の開成町福祉会館に到着しました。
水関係の専門家たちだとうかがいました。

関口康弘会長がスライドを使って酒匂川の治水の歴史の要点を解説しました。
400年前に大口付近で土手を3か所造り水勢を弱めて農業用水に利用したことが中心です。

富士山噴火後の大洪水の復旧工事のあと神様を祀った経緯を解説しました。
土手を人工的に切って遊水地としているかすみ堤が3か所残っていることも紹介しました。


クラブで刊行した英語・中国語版の冊子『みんなで学ぶ富士山と酒匂川』が役立ちました。
私も補足解説しました。

1945年8月15日の敗戦のあと地元県議が酒匂川の改修工事の陳情をしています。
戦争中の対応が不十分で台風による被害が頻発したためです。

戦争は自然災害をも引き起こすと強調しました。
忘れてはならない歴史です。

かすみ堤は現役施設だということを伝えました。
2010年9月の集中豪雨の時に土手の決壊を防ぐ一助となりました。


質疑応答では伝統的な治水技術の活用や日頃の防災対策について関心が高かったです。
クラブのメンバーの橋本京子さんによる日本の童謡のプレゼントがありました。


駆け足で現地見学をした後宿泊先の箱根へと向かいました。
ささやかな国際貢献ができたとメンバー一同満足感を味わいました。