今こそ自転車の町づくり、若い柔らかな発想が求められています。

(写真は国土交通省ホームページより)

神奈川大学で私が受け持っている講義は、政策過程論と地域制持論です。表題だけを聞くと難しく感じられるかもしれませんが、要は町づくりについて語ってます。

開成町長13年の体験をベースにして、政策過程論ではどうしてそうした政策が生み出されたのかを解説し実現まのプロセスを追いかけます。

地域政治論は、開成町の町づくりが周辺市町にどのような影響を及ぼしたのかや神奈川県における広域行政の展開について語り道州制論議についても考察します。

昨日は、自転車がテーマでした。学生たちに話しているうちになつかしさがこみ上げてきました。町長になりたての頃の前のめりの危なっかしさを思い出しました。

でも町を良くしようという純粋な思いはしっかり持っていたと自負します。だから何とかしのいでやってこれたのだと思います。

建設省(現在の国土交通省)から自転車の町づくりのモデル都市の指定を受けたのは2000年でした。ミレニアムの年と話題になっていた頃です。

建設省につてがあって指定を受けたのではありません。公募に応じて指定を勝ち取りました。怖いものなしみたいな時期でしたので挑戦できたのだと思います。

若手チームで対応しました。現在は副町長になっている小澤均さんがリードしました。自転車モデル係という担当を新たに設けたりもしました。

純粋に公募に応じて全国14のモデル都市の指定を受けたのは快挙だと思います。たいていは事前に裏約束ができているのが国の公募のよくあるパターンです。

11億円余りの事業費をつけました。狭い歩道を拡張して自転車も通すことができ財源として国庫補助を二分の一はつぎ込めると胸躍りました。

ところが実際にやれたのは3億5千万円でした。目標とは大違いです。自転車と歩行者の共同利用は大幅に歩道を拡大しなければ危険だと警察庁からクレームがつきました。

建設省と国土交通省の折り合いがつきませんでした。これでは何のためのモデル事業かわかりません。国の縦割り行政を実体験することができました。

本当に良い体験でした。中でも若手チームの力量に内心驚きました。この体験が富士フィルムの先進研究所誘致の時に大いに活きました。

モデル都市は5年間の期間限定でした。終了して来年で10年です。東西南北の幹線道路も整備されてきました。片側4メートルを超える立派な歩道もあります。

今こそもう一度自転車の町づくりに本気で挑戦して真のモデル都市として名乗りを上げて欲しいです。なにせ環境にも健康にも良い乗り物で時代が求めてます。

ハードではなくソフト事業が大切です。柔らかな発想が求められます。若い学生たちに行政は皆さんの柔らかい頭脳から発せられる提案を求めてますと呼びかけました。

応じてくれる学生が大勢出てきてくれることを期待してます。未来を先取りする事業は未来のある若者たちが挑戦するのが一番です。