野風増(のふうぞう)から大人へ
若気の至りという言葉があります。
生意気で前のめりに突っ走るイメージでしょうか。
記者時代の私はNHKの看板で仕事させてもらっているのに自分の実力と勘違いしてました。
上司に突っかかるし扱いにくい人間でした。
河島英五さんが歌いヒットした名曲に「野風増(のふうぞう)」があります。
サビに惹かれます。
いいか男は 生意気ぐらいがちょうどいい
いいか男は 大きな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て
大きな夢を持つべきは男に限りません。
最初に曲がつくられたのは44年前ですので当時の風潮を反映していると理解して下さい。
野風増とは突っ張りという意味で中国地方の方言だということです。
孤高の姿勢は魅力的です。
しかしいつまでも野風増では社会で生きていけません。
孤高は格好は良くても社会の変革は期待できず一人芝居に終わってしまう恐れがあります。
野風増から大人へと脱却するきっかけが必要です。
私の場合は開成町長の13年間でした。
小さな町でのまちづくりの実践があり野風増から大人へと第一歩を踏み出せました。
肩書や格好ではまっとうなまちづくりは不可能です。
現場に飛び込み陣頭指揮、対外的には捨て身でぶつかる。
机上の空論の能書きは通用しない世界を初めて体験しました。
仕事をやり遂げるには信頼が不可欠ということを痛感しました。
絶対の信頼が置ける同志がいなければトップは安心して仕事ができません。
大人へと階段を上がるうえでなぜ町長体験が大切だったかは明確な理由があります。
首長は言い訳が聞かない仕事だからです。
人間は弱いので自分を悲劇の人物に仕立て上げて世間におもねることがあります。
町長が自分は悲劇のヒーローだなんて言い出したら収拾がつきません。
責任を背負うことは成長のエンジンでした。
将来有望な政治家に首長を進めるのはこれが大きな理由です。
特に小さな自治体は地べたそのものが現場です。
そこから変革を目指すのは”カッコいい”と思います。