韓国ユン大統領の愛国心と民主主義のせめぎ合い

韓国のユン・ソンニョル大統領徹底抗戦の構えです。
非常戒厳宣言は国家のための行動だと正当性を主張してます。

ユン大統領のかじ取りは大胆です。
ムン・ジェイン政権の反日的な構えを180度転換させました。

韓国で日本との友好を訴えることは世論の反発を覚悟しなければなりません。
信念がない政治家にはできない芸当です。

検察トップから大統領に就任した人物らしい一刀両断的な決断力を感じます。
政治経験がないことがこうした姿勢を可能にしたと思います。

数の力を背景にあらゆる政策遂行に抵抗する野党に怒りを募らせたはずです。
ついに一刀両断的な決断がさく裂しました。

民主主義に欠かせない手続きの正当性というプロセスをはしょりました。
非常戒厳発令の発表があまりに唐突であったことが憎き野党に錦の御旗を与えました。

韓国民衆の怒りの炎を点火させてしまいました。
熱狂的な世論が形成されます。

与党の国会議員はユン大統領のような信念を持ち合わせていません。
恐いのは世論、170人中12人が隊列からこぼれ弾劾可決となりました。

ユン大統領はこれからが勝負と決意を新たにしているはずです。
伝えられるファイティングポーズは偽りとは思えません。

憲法裁判所の審査は白熱すると思います。
国家に殉じたとのユン大統領の堅い信念は揺らがないと思うからです。

政治学の古典中の古典マックス・ヴェーバーの『職業としての政治』を思い出しました。
政治家の責任感を「心情倫理的」と「責任倫理的」にわけて論じてます。

前者は目的が正しければ良しとし後者は結果責任です。
ユン大統領は明らかに前者です。

政治の混乱と世論の反発を招いたことまでを愛国ゆえだと正当化するのは困難です。
民主主義に反したとのもう一方の正当性の方に軍配が上がると思います。

ユン大統領の愛国心による行動が結果として韓国の弱体化を招きかねないのは皮肉です。
一番喜んでいるのが北朝鮮だとなるとブラック・ジョークです