魚になれれば人生スイスイ

日本語で頻繁に使う言葉のひとつに“頑張る”があります。
広辞苑を見ると「我を張る」が転じたものだとしてます。

栄養ドリンクのキャッチフレーズで“ファイト一発”があります。
この“ファイト!”も本来の意味と通常の使い方に距離があります。

英語のファイトは「戦う」意味です。
日本語では先ほど挙げた“頑張る”に近い印象があります。

「ファイト!」といえば中島みゆきさんの名曲があります。
そら恐ろしい描写から歌詞は始まります。

母親が階段から子どもを突き落とす場面です。
自分がその場から逃げたことを理由に“自分の敵は自分”と言います。

中島さんは“ファイト!”を戦う意味で捉えてます。
しかしその後の歌詞は謎めいています。

戦っているはずが「あいつは海になりました」との歌詞が飛び込んできます。
いったいどうなってしまったのでしょうか。

中島さんは海に合わせて象徴的な生物を登場させます。小魚です。
小魚になれば楽々と海の国境を越えることができると言ってます。

魚ではなくてなぜ小魚を用いたかというと大群となって旋回するように泳ぐからです。
その場面を「あきらめという鎖をふりほどく」しぐさに見立ててます。

自分に勝つためには小魚になるのがポイントということになります。
そのための絶対条件が「海になる」ことです。

ここまでくると「海になる」ことの意味がおぼろげながら見えてきます。
「頑張る」の「我」を張らないことが自分に勝つための秘訣のようです。

戦いの勝利は「我」を捨てて始めて見えてくるという順番になります。
中島みゆきさんの歌詞は人生を深く考える題材を与えてくれます。

真理にもう少しで手が届きそうなところまで迫った気分にしてくれます。
ミュージシャンの範ちゅうには収まりません。

“頑張って”人生の勝利者になりたいのならば小魚になることです。
そのためには「我」を捨てなければなりません。

「頑張る」目的が「我」を捨てること!。
華麗なる逆説です。

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