日本製鉄のUSスティール買収劇とん挫のなぞ

日本製鉄によるUSスティール買収にバイデン政権が待ったをかけました。
企業側はアメリカ政府を相手取り訴訟を起こす構えです。

2兆円を超す巨額な買収劇は厳しい状況に陥ったと報じられてます。
アメリカ政府の買収中止命令の理由は安全保障上の懸念とされます。

日本は同盟国なので名目上の大義名分に過ぎないと思います。
労働組合の支持を受けたことに対する見返りと見る方が納得できます。

大いなる疑問が生じます。
日本製鉄側もUSスティール側も本当に買収が実を結ぶと考えていたのでしょうか。

常識的に考えて難しい案件です。
買収が発表されたのは一昨年の12月で翌年11月に大統領選があるのはわかってました。

労組が反対するのは織り込み済みでしょう。
大統領選となれば票目当てに労組の意向に乗ることも想定できます。

それでも買収は成立すると判断した根拠が見えません。
企業側は情報収集を余念なく行ったはずなのになぜ読み違えたのでしょうか謎です。

1980年代の後半バブル経済の狂乱の中日本企業は海外の不動産を買いあさりました。
象徴が三菱地所によるロックフェラーセンタービルの買収です。

1200億円を投じて買収したもののバブル崩壊で大半の物件を手放す羽目になりました。
ニューヨーク市民の強い反発も引き起こし踏んだり蹴ったりです。

日本製鉄の買収も同じ過ちを犯した側面は否定できません。
危ない橋を渡った理由を説明しないと株主は納得しないでしょう。

世界の鉄鋼業界は中国が席巻してます。
その状況にくさびを打つのだからアメリカ政府も許容すると考えた可能性はあります。

しかし大統領候補者にとって最も気がかりなのは激戦州の票です。
こんな単純な論理が理解できないのは不思議でなりません。

こういうことが起こるからは陰謀論がはびこるのです。
はめられたとか…。

今さら怒りをぶちまけても無様なだけです。
日本製鉄は訴訟より買収に踏み切った根拠を明らかにする方が先決です。