昭和100年の今年、次の時代の日本を構想する
国民的作家の司馬竜太郎さんは「明治国家」と「昭和国家」を画しています。
希望に燃えた若き近代国家が戦争へと傾斜する国家へと変質したことへの苦渋を感じます。
時代が大正から昭和になったのは1926年12月ですので今年は100年目です。
昭和という時代を見つめ直すチャンスです。
昭和の最初の20年は戦争の時代でした。
原爆投下でとどめを刺され戦争の時代は幕を下ろしましたが痛恨の大失敗です。
戦前の歴史にも光と影がありますが結果の悲惨さを忘れての美化は禁物です。
被団協のノーベル平和賞受賞は日本人への警鐘だと受け止めています。
敗戦後10年は混乱の時代、食糧不足が深刻でした。
昭和天皇によるマッカーサー元帥への支援要請があったことは忘れてはいけません。
私が生まれた1955年から昭和が終わる1989年までは経済の時代でした。
成長が続き日本は経済大国、ジャパンアズナンバーワン時代に到達しました。
ここから先はバブルの狂乱と破裂、長期低迷となります。
30年ひと世代を過ぎても、もがき続けています。
昭和は敗戦で軍事強国の夢は潰え、経済大国の夢もバブルの破裂と共に終わりました。
「強兵」と「富国」のふたつの目標を達成しかけはじめたとたん幻想に気づきました。
なぜ失敗を重ねたのか考え直す昭和100年にしなければなりません。
失敗の本質は誤った大国幻想にあると考えます。
軍事力や物量の経済に惑わされるのを止めないと三度過ちを繰り返します。
認識を一新することが大前提です。
大志を抱いて踏ん張った明治人の気概を取り戻すことが第一です。
改革には痛みが伴いますので我慢するときには我慢しないとなりません。
日本の誇るべき伝統と強みを活かすことが第二です。
天皇をいただく和の国であること、多彩な文化を有すること、職人の国であること。
江戸時代の良さを活かすことに重なります。
明治人の気概で江戸時代をよみがえらすことが日本の生きる道だと思います。