グローバル企業と『里山資本主義』の結合でイノベーション。

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く

(写真は角川書店ホームページより)

藻谷浩介さんとNHK広島取材班による『里山資本主義』、新書部門のベストセラー街道をばく進中です。新たな経済を創たい人たちのバイブルになりつつあります。

それだけ全国各地の地域経済がグローバルマネーに代表される巨大資本に翻弄されてきた証だと思います。再生の処方箋を掴み取りたいともがいていると言えます。

間伐した材木が放置されたままになっている山林、耕作されずに放置されたままの農地、小売店が激減しシャッター通りとなった商店街。惨たんたる有様です。

市場開放と規制緩和がもたらした現実です。消費者だけの視点から見れば安いものが流通し歓迎すべき側面がありました。しかし、マイナスの側面が全国を覆いつつあります。

藻谷さんらは中国山地をフィールドに選び再生への道のりを描こうとしています。そのために「里山資本主義」とタイトルを付けました。響きがいいです。

目指す方向の基本は明らかです。自然エネルギーの活用です。特に森林資源を活かして小さなエネルギー革命を積み重ねようという動きです。

輸出企業がいくら外貨を稼いでも産油国などエネルギー輸出国にその利益をすべて持って行かれてしまっているという藻谷さんの分析から導き出した結論です。

私は藻谷さんの分析結果に目からうろこの感じでした。エネルギーが国として自立することの基本中の基本です。完全に外国に頼っているのですから危ういです。

エネルギーに水と食料を加えれば生存の三大要素です。藻谷さんはこの分野の構造改革に国の総力を挙げて取り組まないないのかといういらだちを持っていると思います。

その解決の処方箋のアイデアを示したのが『里山資本主義』だと言えます。ただし中国山地で取り組みだしたばかりの動きですのでささやかです。

全国各地で里山資本主義の実践活動が広がるようにならなければ革命にはなりません。私たちの酒匂川流域自然エネルギー研究開発協議会の取り組みのその一つです。

私たちは、里山資本主義が描いているような山林の中の小さな動きだけでなくグローバル企業も一緒になって新しい経済を創ろうとしています。ここに独自性があります。

開成町には富士フィルムの先進研究所があります。医薬品や化粧品の研究開発が主力です。こうした動きとタイアップして新たな市域産業を興すことを目指しています。

例えば富士フィルム先進研究所が研究材料とする薬草を地域で供給するシステムを編み出すことです。製品化できるのならば栽培を拡大するという仕組みです。

グローバル企業の持っている開発技術力とタイアップして新たな農業の姿を示して行くことが可能だと思います。そしてエネルギー源として山林に着目します。

山林で捨てられたままになっている間伐材を収集する仕組みを作り、バイオマスエネルギーを薬草栽培工場の熱源として利活用していけば山林も蘇ります。

藻谷さんらの里山資本主義とグローバル企業とを結び付けて新たな経済の姿を示すことができると思います。これぞイノベーション。全力で神奈川県や市町に提案をしていきます。