日本オオカミ研究の拠点づくり
“送りオオカミ”という言葉は誰でも知っているでしょう。
由来はかなり古いです。
民俗学の大家柳田国男さんの全集第28巻に「狼の話」という随筆が載ってます。
狼にまつわる民話が紹介されていて送り狼の話もあります。
遠州、今の静岡県西部の岡部という地域に伝わる話には驚きました。
その地に住む朝比奈一族は狼から授かった子どもが祖先だということです。
2人の兄弟が狼の乳で育てられたとのローマ草創の神話みたいです。
日本とオオカミの深い因縁を感じます。
柳田さんはオオカミが生態系の頂点に立っていたことに関係があると見てます。
畏敬の念が生じ日本各地でのオオカミ信仰へとつながっているということです。
柳田さんは歴史をさかのぼるほどオオカミは身近な存在であったと述べてます。
銃が入ってオオカミは受難の時代に入り明治以降、急速に数を減らしました。
神奈川県立図書館より県に関係する日本オオカミの文献や資料のリストが公表されてます。
「ニホンオオカミの分類 に関する 生物地理学的視点」という研究論文がありました。
神奈川県立生命の星・地球博物館の研究員の論考です。
江戸末期から明治にかけて発見されたオオカミの骨の場所26か所が地図に落とし込まれてます。
秦野市から山北町の丹沢山と箱根町から南足柄市の箱根山に集中してます。
神奈川県西部地域がオオカミの主な生息地だったことがわかります。
論考のもとになった著書があります。
考古学者の相良信夫さんが書いた『日本産狼の研究』です。
山北町の郷土史研究誌「足柄乃文化」の第40号(2013年発行)にも論考がありました。
郷土史家の津田守一さんの「足柄上郡地域の日本産狼の歴史的考察」です。
山北町や秦野市などで捕獲された狼の骨の写真とともに解説が載ってます。
相良さんの研究をフォローしました。
神奈川県西部地域は拠点があれば日本オオカミ研究のメッカになれると思いました。
地方創生の一翼を担えると思います。