原発の不都合な真実を直視する
4月8日朝日経新聞を繰っていて解説の頁で動きを止めました。
「福島廃炉2051年の空疎」という矢野寿彦編集員の署名入りの記事でした。
福島第1原発の廃炉目標が2051年とされていることに深い疑念が表明されてます。
あり得ない目標だとしてます。
松岡俊二早稲田大学教授の見解も紹介されてます。
廃炉までの期間について「68年から170年」と想定しています。
「170年でも楽観的な数字」だと付け加えられてました。
政府目標の40年とかけ離れています。
事故から14年でデブリと言われる高濃度の放射性物質を微量取り出した段階です。
松岡教授の見通しに分があります。
手品のように魔法の技術が発見されない限り実現不可能です。
都合の悪い現実に目を向けない原子力推進側の病は深刻です。
最後の文章に目が釘付けになりました。
紹介します。
「3・11が発生した際、長年、原子力を支えてきた「安全神話」が批判された。だが、世界の大地震の2割が発生する地震大国ニッポンで原発を主力電源に据えるには、この神話無くして成り立たなかったようにも思う。原子力再興には「神話」に代わる国への「信頼」が要る。今こそ福島廃炉の行く末を国民全体で議論し、正面から対処しなければならない。」
目を丸くしました。
原子力「神話」で国民を惑わした事実を認めています。
原子力の推進が時代の目標だったので仕方なかったんだと弁解しています。
「神話」づくりのお先棒を担いだ責任感が少しでもあればこんな文章は書けません。
矢野編集委員の本音は原子力推進だと思います。
政府に対する国民の「信頼」にこだわっています。
空疎な目標を掲げていては「信頼」は得られないと問題提起しているつもりでしょう。
国民全体で議論が記事の結論ですが事実を知れば知るほど「信頼」は遠のきます。
原発を推進したいがままならない現実を理屈をこねて嘆いているだけです。
廃炉問題を追及しているようで本質に迫ってません。