「かすみ堤を守っていく会」
昨日、「かすみ堤を守っていく会」の清掃活動があり参加させていただきました。かすみ堤から出ている雑草を取り除く作業を2時間ほど行いました。
この会は、毎年定期的に草刈り活動をしていて、神奈川県「県土整備局ボランティア表彰」を今年の3月に受賞しました。
この会の素晴らしいところは単なる清掃活動ではなくかすみ堤の持つ意義をきちんと伝える活動もされているところです。2011年10月には大きな催しをしました。
1938年、豪雨でかすみ堤が決壊寸前にまで行きました。かすみ堤を修復しちょうど70年目の節目に酒匂川とかすみ堤を考える集会を実施しました。
2010年9月の台風でかすみ堤が本来の機能を果たし増水した酒匂川の河川の水が逆流し一時的な遊水地になりました。深いところでは1メートルを超していました。
かすみ堤のすごいところは本流の水量が減少するとともに徐々に水が引いていくところです。稲刈り間際の水田も水につかりましたが稲穂が倒れません。
よくぞこんな仕組みを考えたものだと思います。酒匂川には土手が連続していなくて切れているかすみ堤は三カ所残っています。開成町に一か所、小田原市内に二か所です。
江戸時代の図面では酒匂川や支流の河川には無数と言ってよいほど切れ目が入っています。かすみ堤で洪水の際の水量をコントロールしていたことは確実です。
当時の土木技術では水量の増加を完ぺきに防ぎきるという発想はなかったのだと思います。洪水はところどころで氾濫させることで収めるしかありませんでした。
明治時代になって欧米の近代土木技術が取り入れられて洪水を防ぎ切ることができるという発想でかすみ堤は取り壊されてコンクリートの連続堤になりました。
なぜ酒匂川に三か所残ったのか不思議です。歴史的な探求が必要です。土木技術的な判断なのか資金不足なのか地元住民の反対があったのか、解明されていません。
国土交通省で河川局長を務められた竹村公太郎さんに依然伺ったことがありますが全国的に見てもかすみ堤は希少な存在となっているようです。
このところゲリラ豪雨が頻発しています。地球温暖化による気象変動による影響だと見られます。今後さらに増えてくると予想せざるを得ません。
酒匂川の残るかすみ堤は歴史遺産ではなく現役の治水施設です。河川を管理している神奈川県はもとより流域の市町も管理に一層の注意を払う必要があります。