江藤拓農水大臣更迭が示す日本の政治
「コメを買ったことがない、家には売るほどコメがある。」
江藤拓農水大臣の発言に驚かない人はいないでしょう。
国民がコメ価格の高騰に苦しんでいる時に政府の責任者が軽口をたたくのですから。
立場をわきまえろと言いたくなります。
私が現役の政治記者だったころは江藤拓さんの父親の隆美さんが健在でした。
たたき上げで農政通の国士でした。
社会党の村山元総理と並ぶ眉毛の太さが印象的でした。
拓さんからは父親の面影を感じますが硬骨さは感じ取れません。
どこか甘さが表情に漂ってます。
父親とは育った環境が異なるからだと思います。
東京の私立大学を卒業し父親の秘書となりました。
父親の地盤を継いで代議士になった典型的な2世議員のキャリアを積みました。
野武士の風格を持った江藤隆美さんは息子に背中を見せなかったのかと不思議でなりません。
父親が持っていた宮崎の土の匂いが息子の卓さんからはしません。
衆議院議員のことを代議士と言います。
国民に代わって国会という戦場で言論を戦わすサムライだと私は理解してます。
絶対条件は選挙区に根差すことです。
そうでなければ地域の声を代弁できません。
父親の地盤を受け継いだだけでは代議士とはいえません。
血筋がつながっているだけの落下傘政治家です。
選挙区で有権者とひざ詰め談判をして鍛えられ一人前のサムライになります。
親の地盤を受け継ぐ世襲議員はこの通過儀礼を安直にやり過ごすことができます。
その結果が言動の軽さを産み今回のような致命的失言につながります。
当選が最初から約束され、有権者からちやほやされていては仮に素質があっても育ちません。
江藤大臣の更迭問題は日本の世襲政治が行き着くところまで来たことを示してます。
しかし世襲政治家の石破総理は世襲政治家の象徴のような小泉進次郎さんに命運を託しました。
まるで世襲政治が存続をかけて戦いを挑んでいるかのようです。
私には世襲政治の断末魔に見えてしかたありません。