温故知新型地方創生の波及力
神奈川大学まちづくり講義、6回目が終わりました。
かやぶき屋根の古民家瀬戸屋敷の再生がもたらした影響について解説しました。
農水省はコメ価格の高騰で何かと評判の悪い役所ですが瀬戸屋敷にとっては恩人です。
「都市と農村との交流拠点」という名目で補助金を得ました。
4億4千万の修復費のうち6割強が国と県の補助金です。
神奈川県知事の岡崎洋さんの側面支援が大きかったです。
もうひとつは担当職員の瀬戸公雄さんの超人的な頑張りでした。
いまさら謝罪しても遅いですが働き方改革に逆行してました。
誰でも使える施設にしました。
初代館長の川澄暹(のぼる)さんは「みんなの我が家」と名前をつけました。
瀬戸屋敷の波及効果には目を見張るものがあります。
まず住民の活動が活発になりました。
瀬戸屋敷クラブが発足して季節ごとの年中行事などを今も運営してます。
婦人会はひな祭りを人気イベントに押し上げました。
「足柄の歴史再発見クラブ」が発足したのも瀬戸屋敷の再生がきっかけです。
災害の歴史を楽しく学び子供たちに伝える活動を続けてます。
最大の波及効果は瀬戸酒造の復活です。
2017年東京のコンサル会社のオリエンタルコンサルタンツが直営で復活させました。
橋の設計を担当していた社員の森隆信さんの熱い思いが道を開きました。
40年近く生産を止めていた酒蔵の復活を素人が成し遂げました。
バックに大手企業がついていたので3億円の初期投資ができたのは事実です。
しかしその投資を引き出したのは社長になった森さんの情熱です。
酒蔵は地場産業の雄です。
地域活性化の原動力となります。
酒米生産の増強で水田農業の持続を促せます。
外国人観光客が日本の良さを存分に楽しめる場ともなります。
古いものをよみがえらせる「温故知新」型地方創生の波及効果は絶大です。
全国どこでも応用可能です。
きらびやかな建物の建設に飛びつく前に考えて欲しいです。
歴史ある建造物は決して裏切りません。