地域に根差した素人研究が専門家を刺激する

プロに比べて素人が力が劣るのは当然です。
草野球とメジャーを比べれば一目瞭然です。

では草野球から学べるものが皆無かというとそうではないと思います。
超一流の選手は素人の動きから学ぶ視点を持っているはずです。

開成町長時代に災害の歴史研究でそんな集団を作れないかと考えました。
「足柄の歴史再発見クラブ」を設立したのはそんな思いからです。


昨日クラブが出版記念の集いを開きました。
60人ほどの参加者でした。

今度の冊子は『増訂版 富士山と酒匂川』です。
富士山関連冊子の刊行は4冊目となりました。


登壇者はビデオ出演も含めて5人です。
プロは元筑波大教授の方のみです。

発言は多彩でした。
専門研究者のシンポジウムとは全く異質でした。

地域の災害の歴史を学ぶ熱意は高いです。
素人目線が思わぬ発見を生むことがあります。

酒匂川の治水の難所に建立された福澤神社の由来に光を当て直しました。
中国の治水神である「禹王(うおう)」が祀られていました。

初代会長の大脇良夫さんが徹底的に調査を進めました。
大脇さんは元富士フイルムの社員で専門家ではありません。

全国に同種の禹王遺跡が存在することを突き止めました。
「治水神禹王研究会」という全国組織に発展しました。

専門研究者ならばここまで熱くなりません。
郷土史の専門雑誌には禹王のことは既に記述されていました。

素人の新鮮な驚きが探求の原動力になったはずです。
埋もれていた歴史の再発見につながったのです。

さらに発展がありました。
2015年開成町で国際シンポジウムが開催されました。

素人研究が国際学会を引き寄せる力を持ったことは特筆ものです。
専門家たちが素人の研究成果に耳を傾けました。

地域に根差した視点に徹底的にこだわることで専門研究に刺激を与えらえます。
専門研究者の見落としがちな分野を埋めるからです。

素人研究者は自信を持って欲しいです。
素人ならではの強みを活かせば専門家を驚かすことも可能です。

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