さようなら長嶋茂雄さん

長嶋茂雄さんが亡くなりました。
昭和が終わったという感慨を持ちました。

1955年生まれ、巨人大鵬玉子焼き世代の私たちにとって長嶋さんは英雄です。
小中学校時代はここぞという時に打つという鮮烈な印象が強く残ってます。

真のヒーローはいざという時に躍動するとの考え方は私の信条となってます。
少年時代に長嶋さんから受けた強烈なイメージの影響を強く受けました。

高校時代に入ると衰えが目立ちだし併殺打で凡退という風に印象は変わりました。
そして最後は”巨人軍は永遠に不滅です”となりました。

引退試合のダブルヘッダー覚えてます。
涙が止まりませんでした。

バカヤローと叫んでました。
引退なんてするなという感情の爆発です。

終って欲しくない物語が終わってしまうことを受け入れられず怒りに転化しました。
長嶋さんとの関わりはこここでひと区切りでした。

巨人軍の監督になって以降の長嶋さんはスターの印象がはがれました。
大学生から社会人、生意気盛りの眼には”天然采配”の拙さばかりが目につきました。

長嶋スタイルをけなすことで自分は違うということをアピールしたがる年ごろでした。
ジャーナリズムの世界に身を投じたためその斜に構えた視線は厳しくなっていきました。

選手と監督の能力は別物という現実を教えてくれた人でもありました。
少年時代に抱いていたあこがれは薄れました。

再び長嶋さんを意識したのはリハビリに立ち向かう姿勢でした。
2021年の東京オリンピックの開会式には目を丸くしました。

かつてのあこがれの存在はまだ輝こうとしていると驚きました。
脚光を浴びる場面を楽しんでいるかのようでした。

別れの時がきました。
冒頭で述べたように希望の昭和との別れだと思います。

誰もが夢を見れた時代との別れです。
厳しい現実から目を逸らすことはできません。

教訓はそれでも前を見続けた長嶋さんの晩年の姿勢です。
夢の時代が終わった現代へ長嶋さんが残した最大の贈り物です。