トップダウンの不足がまちづくりの停滞を招く

神奈川大学のまちづくり講義も終盤です。
開成町をテーマにまちづくりを語る講義は今週で終わりです。


最後に学生に紹介したのは一枚の写真です。
今年のあじさい祭りの際に孫たちと撮った地上30メートルからの眺望です。

背景にあじさいが植えられた水田が写っています。
当時の町長の意志が現れています。

元々あった景観ではなく新たに創り出しました。
水田をほ場整備と言ってきれいに整える事業を行い脇にあじさいを植えたのです。

開成町にしかない田園風景となって全国に発信されました。
今年はNHKで全国中継されました。

開成町のまちづくりをひとことに集約すると「都市計画」となります。
1965年狭い6.55平方キロの町域を全てを計画的なまちづくりの対象にしました。

私の父親の露木甚造町長の決断です。
これが今日の開成町の基礎となりました。

町民に意見をうかがって決めたものではありません。
町長の意志が先に打ち出されて議会も町民も容認した流れです。

いわゆるトップダウン型の行政運営です。
開成町の現在の活力を生み出した原動力です。

トップダウンはボトムアップと対比されます。
みんなの意見を聴くボトムアップ型の方が人気が高いです。

首長としてもこうしたやり方の方が反発を招かず選挙も安心です。
しかし結論を出すのに時間がかかり事業が遅れるデメリットもあります。

もちろん片方が100%よいと結論付けられる課題ではありません。
それでも傾向としてどちらを志向するかはあります。

開成町は1965年のトップダウンの結論が功を奏しました。
神奈川県西部地域において少子高齢化・人口減少に対応している唯一の成功事例です。

トップダウン型のまちづくり手法が有効であったと結論付けられます。
学生にはトップダウンの不足が今日のまちづくりの停滞を招いている側面があると解説しました。

一般的な常識とは異なることは承知です。
しかし開成町のまちづくりの歴史が出した確かな結論です。