ハンナ・アーレントと上田令子都議

都議選から1週間。
街頭演説でハンナ・アーレントの名前を聞いた驚きがまだ残ってます。

一度ブログで触れましたが詳しく書きます。
演説の主は小池都知事に真っ向勝負をしている完全無所属の上田令子さんでした。

都内江戸川区の東京メトロ東西線西葛西駅前と都営新宿線船堀駅前と2回耳にしました。
アーレントは20世紀を代表する女性の政治哲学者です。

ナチスの迫害から逃れた体験もあり政治哲学に関心のある人で知らない人はいません。
しかし一般の有権者は別です。

上田さんはお構いなくアーレントを引用してました。
物価高でも減税でもなくアーレントを語る上田さんにたまげました。

上田さんはアーレントの名著『エルサレムのアイヒマン』を演説の題材にしてました。
アーレントは普通の人が命令により殺人鬼に変ぼうするのが独裁体制だとしています。

上田さんは絶大な権力を有する小池都知事に独裁の危険性をかぎ取っているのでしょう。
今こそ闘う時で逃げてしまっては禍根を残すとの決意を示したと思います。

上田さんの演説する姿から志を感じました。
長いものに巻かれがちな政治体質を吹き飛ばす力強さがありました。

上田さんは小池都知事にたったひとりで不信任決議案を提出する剛の者です。
賛成は自分ひとり、否決されてもどこ吹く風です。

不信任案に反対の他の都議も内心は並外れた胆力に驚嘆しているはずです。
上田さんの燃え立つ志が小池都知事に対し闘志をむき出しにさせるのだと思いました。

私の政治の師である元自民党幹事長の野中広務さんに似た闘争心を感じました。
野中さんの自伝的な著書の題名は『私は闘う』でした。

江東区では上田さんの愛弟子の三戸安弥(さんのへあや)さんが2万票の差をつけてトップ当選です。
江戸川区と江東区は古さを残す下町と新たな開発区域が併存してます。

新たに開発された地域に多い無党派層がうねりの震源地だと思います。
既成政治を根っこから変える可能性を秘めてます。