天命に生きる人物を探せ!
小椋佳さん作詞作曲、美空ひばりさんが歌った「愛燦燦(あいさんさん)」。
「わずかばかりの運の悪さを恨んだりして…」。
運の悪さを恨むということは人の力で少しは変えられるとの願いが込められてます。
人情として理解できます。
困った時の神頼みに近い人間らしい感情です。
こうした人間味に見向きもしない人物が時に出現します。
15世紀イタリア・ルネサンス期の外交官マキアヴェリが書いた『君主論』。
目的のためには手段を選ばない政治を指南する悪魔の書と呼ばれています。
著書のモデルとされたのがチェーザレ・ボルジアです。
ローマ教皇を父に持ち冷酷無比の手法で群雄割拠のイタリアを統一する野望を持つ君主でした。
父の急死で運命は暗転しスペインで戦死しました。
日本史でも同じような人物がいることに気づくはずです。
中世の象徴である寺社勢力を残虐極まるやり方でねじ伏せ新たな時代を創ろうとした織田信長です。
信長は謀反により本能寺で非業の最期を迎えました。
ボルジアも信長も力量で時代を切り拓けると信じたはずですが道半ばで倒れました。
ただ運の悪さを恨んだりする感性は持ち合わせていなかったと思います。
明治維新の立役者の西郷隆盛は上記の2人とは異なる人種です。
運命ではなく天命に生きることを人生訓としました。
2度も牢屋に押し込められ生死を分かつ体験をしたことで身体に染み込んだ結論だと思います。
「敬天愛人」、天を敬い人を愛すが座右の言葉とされます。
温もりが感じられる言葉ですが天命とともに生きることは易しくありません。
天命を自覚するのが難しいですし自覚したらしたで天は絶対なので言い訳が効きません。
一度天命を口にしたら後戻りできません。
厳しいです。
どんな事態に陥ろうとも天意と受け止めて自らを戒め備えを怠ることがありません。
新たな時代を創るのはこうした人物だと私は思います。
混迷必至の現代日本。
天命を知り天命とともに生きる人物が求められます。