三木おろしと石破おろし

私が大学に入ったのは1975年の4月半世紀前です。
ロッキード事件が吹き荒れていました。

翌年の7月疑惑の中心にいた田中角栄元総理が逮捕されました。
総理大臣は三木武夫さん、自民党内傍流の派閥の長でした。

自民党が清新なイメージを打ち出すためにとった窮余の一策が三木総理の誕生でした。
クリーン三木との愛称があったぐらい政治倫理重視の政治家でした。

田中軍団と呼ばれ権勢を誇った田中派にとっては田中逮捕は許されざる出来事でした。
強力な三木おろしが始まりました。

三木総理は戦前からの党人政治家で政界遊泳術の達人でした。
粘りに粘り衆院解散総選挙を目論みました。

世論の後押しを背景に衆院選で勝利して総理の座に留まろうとしました。
数の力には抗せず最終的には解散断念に追い込まれました。

任期満了選挙となった1976年の暮れの選挙で自民党は敗れ三木総理は退陣となりました。
解散を断行できなかったことが致命傷でした。

半世紀後の政治状況を見回してみると共通点がたくさんあります。
石破総理は党内最小グループですしきれいごとを言い続けてきました。

麻生、岸田の元総理に退陣を促されたとされますが応じなかったのは三木さんに似てます。
三木さんのような粘り腰を発揮するには世論の支持が必要です。

最近党外の政治家からエールが送られていると報じられてます。
石破総理の方が与しやすいので続けて欲しいみたいな話である意味情けないです。

選挙で大敗を喫して責任を取らないのは常識外れなので世論の支持には限界があります。
石破総理が居座れるとすると50年前に比べて自民党内に猛者が見当たらないことです。

権力闘争に狂気の味付けはつきもので演じる技量のある政治家は舞台回しに不可欠です。
いないと石破おろしをする側の方が腰砕けに終わる可能性があります。

明日の両院議員懇談会で追い込むつもりがガス抜きの場に…。
ないとはいえないほど政治家の肝っ玉は小さくなってます。