アジアの民族造形作品の収集と研究に70年

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昨晩、東京でアジア各地域の民芸品などの収集と研究に努めてこられた金子量重さんの米寿のお祝いとこれまでの学術成果をまとめた著書の出版会がありました。

古川貞次郎元内閣官房副長官、高野紀元元韓国大使、三輪嘉六九州国立博物館長、内閣や外務省、文化庁関係のお歴々が席につかれていました。

研究者の方、韓国大使館やミャンマー、ベトナムの方や長年講師を務めてきた大妻女子大学の教え子たちも大勢参加されていました。100人を超えるお祝いの会でした。

金子さんは、戦後間もないころから民俗学を志されて、アジアとのつながりを見出そうとアジア各地域の民族の民芸品などの収集を始めました。

昨晩の会合で親友で明治大学の名誉教授の大塚初重さんが「金子さんと一緒に戦争が終わってすぐ一緒に静岡県の登呂遺跡の発掘に参加した。」

「食べるものがなくてすいとんを食べた。土の中から2000年前の土器が出てきて過去の祖先の偉業がわかった。元気が湧いてきた。」と語っていました。

金子さんは、戦争で叩きのめされて日本の未来がどうなるか不安の真っただ中に金子さんは民俗学に光を見出していかれました。その原点からおよそ70年です。

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金子先生の問題関心は、欧米中心のモノの見方から脱却することでした。日本文化の源流の多くはアジア各地域を発信源にしています。

その具体の事実を民芸品や衣装や食べ物、芸能、信仰、家の形といった生活の中に見つけようと研究を続けられました。自らアジア民族造形研究所を設立されました。

私は20年前にある方の紹介で知り合いになりお付き合いが続いてきました。私の妻も金子さんにイランに連れて行ってもらったことがあります。

私の町長時代に金子さんを古民家瀬戸屋敷で行われていたひな祭りにお招きしたことがあります。良い仕事をされたとほめられたのが印象に残っています。

金子さんの収集作品は、2002年に韓国国立中央博物館へ500点、2005年にオープンした福岡県太宰府の九州国立博物館にも金子量重記念室があります。

今年ベトナムにもできる民俗学博物館にも記念室が設けられるということでした。一筋の道を徹底して極めてここまで到達することは感服します。

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金子さんは日本はアジア系の多民族国家だという考え方です。民族同士の血も混じり合ってきていますし文化もそうです。共通の土俵があるということです。

アジアは共通の土俵があることを実証的に示した金子さんの取り組みを評価することはアジアの平和への道筋を作ることにつながると思います。