日本が世界から尊敬される国になるための最大の障害は日中韓のいがみ合い
昨日、法政大学の国際日本学研究所主催の講演会がありました。講師は、共同通信、特別編集委員の会田弘継さんでした。アメリカを始め世界情勢に精通されてます。
1979年、私がNHK神戸放送局に新人記者として赴任した時、会田さんも共同通信の神戸支局に在籍していました。およそ30年ぶりの再会でした。
会田さんは、日本をよく知る世界中の一流の知識人や研究者81人に2007年から2012年まで5年間にわたりインタビューを行い記事を書いてきました。
その体験を基に昨日は、「世界は日本をどう見て来たか」というテーマで1時間半話されました。総じて世界は日本を好意的に見ていることをまず紹介されました。
イギリスの公共放送BBCの最新の調査で、アメリカなどの先進諸国や東南アジア諸国、ブラジルなどから日本は良い影響を与えていると高く評価されています。
先進国の中ではただドイツからは厳しい評価を受けています。半分近くが好ましい影響を与えていないと答えています。原発事故が影響を与えているのかもしれません。
中国と韓国の2国からの評価はとてつもなく厳しく調査に応じた中国人の90パーセント、韓国人の79パーセントの方が日本を否定的に見ています。
離れた人たちの評判は良いが隣近所からは嫌われているという様相です。歴史認識や従軍慰安婦問題、領土問題が暗い影を落としていることが原因です。
中国は、先進諸国からは否定的な見方をされてますが新興国からは支持を高めています。中国経済の成長で援助を増やしていることが理由と言われてました。
2012年には日本の評価は世界1位でした。最新の調査は5位に落ちました。近隣諸国とのいがみ合いが世界の評価に影響を与えていると分析してました。
会田さんがインタビューをした有識者からは日本は、中国と韓国との歴史認識の問題を解決して関係改善を進めるべきだという意見が多く出されたということでした。
代表的な例として韓国の故金大中元大統領、シンガポールのリークアンユー元首相、マレーシアのマハティール元首相からの意見を紹介していました。
歴史問題を未来志向で解決することができると強調されていたということです。マハティール元首相はアメリカ型の経済政策の採用にも批判的だったということです。
日本が、中国、韓国との関係改善を果たし和解へと歩むことは、日本が真に世界から評価される国になるための試金石だと私は思います。
安倍政権の現在の対応は、日米韓の安全保障体制への配慮から韓国とは無理矢理に協調路線を取る一方で中国には敵視路線を取っています。
現状は、中国との関係改善は全く見通せません。韓国とも微妙です。このままでは世界からの評価をじわじわと下げ続けてしまう結果になりそうです。
世界は極東アジアの平和と安定を求めています。アメリカの知識人も全く同じだと会田さんは話してました。対中敵視路線を見直す必要があると思います。