紅い資本主義国家中国の明るくない未来
古い話で恐縮です。
政治記者の初外遊は1986年夏でソビエト現在のロシアでした。
ゴルバチョフ書記長がペレストロイカ(改革)を断行中でした。
世界の耳目が集まってました。
米ソ2大大国時代です。
ソビエトの内情を見れる期待感と初外遊の不安感が入り混じってました。
モスクワに到着してすぐがく然としました。
レストランのメニューは乏しくショッピングも品ぞろえは貧弱でした。
軍事力では圧倒的な力を持つ国の暮らしは寒々しかったです。
1991年ソビエトは崩壊しました。
国民経済は国家の基盤です。
そこが貧相ではいずれ体制は維持できなくなります。
22日の日経新聞の解説の頁に「光と影が際立つ中国経済」という記事がありました。
日本総研の呉軍華上席理事の解説でした。
中国の最先端分野における躍進は目覚ましいものがあります。
EV=電気自動車や太陽光パネルは言わずもがなです。
これからの経済のカギを握るAI=人工知能分野も同様です。
アメリカの技術優位を脅かす存在となってます。
呉理事は最先端産業の発展は中国経済全体の底上げになっていないと分析してます。
先端部分ばかりが輝いても果実は国全体に行き渡らないというのです。
確かに中国経済の減速の流れは止まっていません。
不思議です。
最先端分野は雇用には直結しないというのが理由のひとつです。
地方間の無秩序な競争が行われ過剰生産に陥る傾向があります。
価格低下は税収減につながります。
行政から見れば先端企業に投資しても見返りがないという現実に直面します。
この記事を読んで初外遊の時ソビエトに感じた不可思議さと同じ感慨を持ちました。
全体主義国家が持つ病いを感じます。
国家による統制が利かなくなり国内経済の矛盾が拡大するパターンです。
先端産業の隆盛の影に潜む矛盾が大きくなると国家を揺さぶる事態もあり得るます。
紅い資本主義国中国の前途を冷静に分析することです。
主義主張に囚われ色眼鏡で見ないことです。