本来の保守とは何かと自民党総裁選

2日付の朝日新聞に「保守」という言葉が混乱している現状について解説が載りました。
論者は政治思想史などが専門の中島岳志東京科学大教授です。

見出しは「耳を傾ける余白を残す これが保守」となってました。
「政治は60点」をめざすという大平正芳元総理の政治姿勢も紹介されてました。

保守を定義したのは18世紀イギリスの政治思想家のエドモンド・バーグです。
フランス革命で高揚する政治に警告を発しました。

理性や知性だけに頼るのは人間の思い上がりだとしました。
歴史の風雪に耐えた良識や伝統を重んじました。

この態度から徐々に変革する漸進主義が導かれました。
保守とは寛容さを保ち議論を尽くして漸進的に変革する態度となります。

国地方を問わず保守政治家たちの懐の狭さが気になります。
敵味方を峻別し叩こうとします。

安倍元総理時代にこの流れが強まりました。
保守の象徴とされる安倍総理時代に本来の保守から離れていったのは皮肉な現象です。

自民党と本来の保守との差異が広がることは強みでもあり弱みでもあります。
安倍元総理のように求心力のあるリーダーがいればウィングを広げる効果があります。

石破総理のように弱いリーダーの下では広がった保守層は直ちに離れます。
国民民主や参政党へ保守層の支持が流れ多党化時代の突入を招きました。

こうした中で今日新しい自民党総裁が決まります。
勝利に近づいている小泉さんは保守とは何かについてその政治哲学を語ることはありません。

政治理念を棚上げして党内で権力闘争を続けている現状は悲しいです。
自民党の変革には保守とは何かを問い直すことが必須条件だからです。

安倍政治に戻ることで離れた保守層を取り戻そうとする選択をするのか。
それとも本来の保守の立ち位置に戻ることで要の政党として再生を果たすのか。

どちらの道を選ぶのかの選択は日本の進路に決定的な影響を与えます。
この重要極まりない争点が抜け落ちた自民党総裁選でした。