忘れない努力と忘れる努力
昨日、横浜の神奈川県民センターで開かれた「日中関係の未来を拓く」は、90人の定員満席、司会役の私は2時間立ち通しでした。全然平気でした。
「日中国交正常化に命をかけた経済人岡崎嘉平太に学ぶ」をテーマにしました。日中関係の険悪な今こそ、岡崎の取り組みを学ぶ必要があると思いました。
外交官でも政治家でもない岡崎が周恩来首相と深い信頼と友情を築き上げ日中国交正常化の原動力になったのです。民間の力を再認識するきっかけになります。
2007年3月19日に放映されたNHKスペシャル「命をかけた日中友好 岡崎嘉平太」を参加者で視聴しました。感動がこみ上げてきます。
信頼、友情。この二つがいかに強いかが心に染み渡ります。周恩来首相と二人三脚で幾多の困難を乗り越えました。ただただ頭を下げるしかありません。
(写真は岡崎眞さん)
四男の岡崎眞さんが父の岡崎嘉平太と周恩来首相のやり取りを紹介されました。「忘れない努力と忘れる努力」という内容でした。
「覚書貿易の交渉で一九六二年の十月に周総理にお会いした際、周総理は「甲午戦争(日清戦争)以来、日本はわが国を侵略して、人命、財産に多大な損害を与えた。われわれはこれを深い恨みに思っている。しかしこの恨みの八十年も、日中友好二千年に比べればわずかな時間だ、だからわれわれはいまこの恨みを忘れるように努力している。恨みを忘れて、これからは日本と手を握って、アジアを強くしようじゃないか。その強くした力で、アジアの外に向かって、侵略するんじゃない。将来もし再びアジアの外からアジアを侵す者がおったら、協力してこれを払い除けようじゃないですか」と述べられました。わたしたちは、忘れる努力をしている中国に対し、忘れない努力をしていかなければなりません。そして恨みを忘れてもらえるよう努力しなければなりません。忘れる努力と忘れない努力が実を結ぶとき、新しい日中、そしてアジアの時代が拓けてきます。」
いかがでしょうか。含蓄のある岡崎からのメッセージではないでしょうか。また周恩来首相の心の広さが伝ってくるやり取りではないでしょうか。
しかし現在の状況はこの二人のやり取りが目指した理想とは全く逆に進んでいることは間違いありません。踏みとどまって日中関係をやり直す時期です。
侵略戦争の事実を否定することは両国関係を悪化させる恥ずべき行動です。まず忘れない努力からもう一度やり直そうではないかと思いました。
(注 このタイトルのブログは本日一度公開しましたが内容に誤りがあると岡崎眞さんより指摘を受けました。このため全面的に書き直しました。ご了承ください。)