前事を忘れざるは、後事の師なり。
(写真は、岡崎嘉平太の色紙「前事不忘 後事之師」 岡崎嘉平太記念館ホームページより)
日中国交正常化に命をかけた経済人、岡崎嘉平太は、元号が昭和から平成へと変わった1989年9月に亡くなりました。92歳でした。
その年に節目となる100回目の訪中を果たしています。天から与えられた使命をよくぞ果たしたという神からの贈り物の旅行だったと思えてなりません。
岡崎嘉平太は、困難にもくじけずに新たに誕生した人民中国の指導者、周恩来首相と深い信頼と友情を貫き、ぶれることがありませんでした。
岡崎の気高い人生は、生き方の極上のお手本だと思います。私も大いに喚起されました。岡崎嘉平太に学ぶという催しを行って本当に良かったと思います。
岡崎嘉平太が亡くなって一周忌に配られた色紙には「前事不忘 後事之師(前事を忘れざるは、後事の師なり)」という岡崎が書いた言葉がありました。
前に起こった出来事を忘れずにいれば後々の経験にとって参考となるという中国の言葉です。岡崎嘉平太が言う前事とは中国に対する戦争責任です。
一周忌のお礼の言葉の中に岡崎嘉平太が日本全国各地の講演の中で戦争責任の問題を言い続けていたと書かれていることからも明らかです。
天国の岡崎嘉平太が今の日本の現状を見て嘆き悲しんでいることは間違いありません。侵略の事実を否定する論調が大手を振るってまかり通っています。
周恩来首相から発せられた怨みを忘れようといった言葉のとてつもない重みを真正面から受け止めた岡崎にとっては歴史を忘れるなどということはありえません。
今こそ岡崎嘉平太が色紙に書いた「前事不忘 後事之師」に込められた思いを心静かに受け止める必要があります。歴史を忘れてはなりません。
謙虚にあくまでも謙虚に侵略の事実を受け止め中国人の心の奥底によどむ怨みの感情にも思いを馳せて行くことこそが日中友好の基礎となると確信します。