林業と環境保全のバランスの取れた山林再生に国が全面的に乗り出す時期です。

県立21世紀の森の四季県立21世紀の森の四季県立21世紀の森の四季県立21世紀の森からの風景

(南足柄市 神奈川県立21世紀の森 県ホームページより)

昨日、ボランティアで足柄地域の山林再生に取り組んでいる西湘自然再生研究会の主要メンバー2人と意見交換しました。あっという間に2時間経ちました。

研究会は、山林に捨てられている間伐材の活用を目指し2010年2月に設立されました。活用先がなかなか開拓できずに困っていました。

私たちの酒匂川流域自然エネルギー研究開発協議会が植物工場や酒蔵の再生、薬草生産の拠点づくりなどを通じてバイオマスの熱利用を模索しています。

両者が結びつけば間伐材をバイオマス資源として供給する側と活用する側の両者がウィン・ウィンの関係になれると考え連携を取ることになりました。

二つのグループが共同でこれまでの研究成果をまとめ、今月、神奈川県に対し山と里の連携による県西地域の活性化案を提案することになりました。

西湘自然再生研究会は、間伐材の単純にバイオマス熱源に活用するのでは付加価値がつかないと考えて新型の新型の合板であるCLTの製造を目標にしています。

CLTは、間伐材の中でも質が悪くても圧縮して合板にできるので使用がJAS規格により認められています。質の悪い材料の有効利用が期待できます。

神奈川県においてC材と呼ばれる虫食いなどの木材は、最近のデータでは、2500立米から6300立米出ます。年による差が大きいのが難点です。

西湘自然再生研究会は、C材を集めて神奈川県か静岡県東部でCLTに加工し、更に加工の結果出てきた木くずをバイオマスの熱源に充てることを考えています。

最大の課題は、安定的にC材と呼ばれる虫食い材が確保できるかどうかです。神奈川県は木材の搬出コストが日本でも一番高いと言われています。

立米当たり5000円とかある程度の価格で買い取ることができないと出てきません。これに県からの補助金13000円がつきます。

他県に比べてこれだけ高価格でも確保が難しいと言われています。CLT工場を一ライン動かすためには年間6000立米の木材が必要と分析されてます。

山には戦後一斉に植林された杉やヒノキが伐期を迎えています。森林学者が、『森林飽和』という著書を出版しているほどの状態です。

それなのに木材が出てきません。コストだけではなく林業者の高齢化、森林組合が熱心でないなど様々な要因が挙げられています。

神奈川県では標高800メートル以上は自然林に戻し、また、林道から200メートル以上離れた山林は人工林から広葉樹を植えて混交林にする方針です。

せっかく植林した杉やヒノキが活かされないのは残念です。神奈川県に林業の再生に充てるおカネがないということにないというのが根本理由です。

人工林として活用できるものはどんどん活用してその一方で自然林に戻す地域は地域として整備するのがバランスの取れた山林の在り方です。

資金の手当てがままならないということで半ば自然の力で長い年月かけて自然に戻していくということで山林の荒廃が食い止められるとは思いません。

県が無理なら国が全面的に出て山林をバランスよく再生することが緊急課題だと思います。頻発する土砂崩れは山林からの警告だと思います。