じわりと増殖する反安倍政権の空気。

7月1日に安倍政権が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をした後の世論調査で高止まりだった内閣支持率が低下傾向にあるとメディアが伝えています。

13日に投開票された滋賀県知事選挙では自民、公明が推す候補が敗れました。安倍政権に対する有権者の見る目が変わってきた証です。

滋賀県知事選挙は、原発の再稼働の是非だけではなく安倍政権の持つタカ派的な体質が露骨になったことに対する嫌悪感があると思えてなりません。

特に政権与党の公明党支持者の動向が気になります。朝日新聞の出口調査の分析結果によると期日前投票も当日も公明党の投票者の割合が減少しています。

公明党の支持者の投票行動に直接の影響を与えたのは原発ではなく集団的自衛権の行使をめぐる安倍政権の強引な進め方だったと見る方が妥当です。

原発を巡っては3・11以降常に論議の焦点だった課題です。集団的自衛権は、ここ数か月で急浮上し、一気に閣議決定にまで持ち込んだ課題だからです。

集団的自衛権の行使を担保するためには関連法案の整備が必要です。安倍政権は、秋の臨時国会ではなく来年の通常国会に先送りする構えです。

そもそも憲法9条は現憲法の中核中の中核の条文です。条文を素直に読めば日本は丸腰、非武装で国を創ると宣言しているとしか読み取れません。

しかし、日本を取り巻く軍事情勢の変化から自衛権を否定したものではないという理屈をつけて専守防衛ならば武力が保持できると解釈を変えてきました。

そして国の存立と国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があれば自衛の措置として集団的自衛権を行使できることになりました。

歴代内閣が憲法の趣旨からして行使はできないとしてきた集団的自衛権の行使に向けて第一歩が記されました。専守防衛の枠から外れました。

憲法99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と明記されています。

安倍内閣の行動は、99条に反するのではないかと思います。憲法の根幹の精神を覆す解釈の変更をするということは憲法99条に反するのではないでしょうか。

10月に福島県知事選挙、11月に沖縄県知事選挙。3・11以降の原発事故対応と普天間基地の移設問題に対する有権者の判断が出ます。

特に沖縄県知事選挙は、内閣が命運をかける基地移設問題に対する事実上の住民投票になることが確実です。集団的自衛権の問題も大きく関連します。

沖縄県知事選挙は、安倍政権の今後の推移だけでなく日本にとっても岐路となる地方選挙となると私は思います。全国民が関心を持つ必要があると思います。