本当の研究者魂、社会のためなら孤立を怖れず!
(東大名誉教授 村井俊治さん)
昨日、東京大学の名誉教授の村井俊治さんとお話ししました。測量学の分野で世界的な権威で日本測量協会の会長を務められています。
東京都文京区春日にある古いビルの4階が会長室でした。エレベーターなしです。長身でほっそりとした、いかにも理科系の研究者という雰囲気の方です。
開成町内の元測量会社のサービスエンジニアの井上三男さんの紹介で知り合いました。井上さんから村井さんが面白い研究をしていると聞きました。
人工衛星からの電波で位置情報を知るGPSを活用して地震予測をしていて今年5月の首都圏の地震を的中させたというのです。週刊誌で話題でした。
なぜ専門の研究誌ではなく週刊誌で話題になったかは理由があります。村井さんは測量学からの地震予測です。東大退官後に始めた異端の研究です。
地震学の本流からは占いみたいに見られています。それでも村井さんは全くはじることなく研究にまい進され予測成果を発信し続けています。
研究を始めて12年です。元々は知人の測量会社の研究者が着目していた研究に関心を持ち二人で共同で取り組むことになったということです。
大きな地震が発生する前にはGPSの観測データに何らの異変が生じずれが観測されるということを過去のデータの分析から発見しました。
何とか予測に役立てないか研究を続けました。3・11の前にも異常が発見できたのですが混乱を避けるため公表をすることができませんでした。
実際に超巨大地震が発生しました。村井さんにとって痛恨事でした。世に公表していれば多少なりとも被害を少なくすることができたとの思いが残りました。
数人で資本金600万円の小さな会社を立ち上げて観測データを配信する事業を始めました。個人向けが主です。1人月額200円と消費税の安さです。
村井さんの経営哲学があります。個々人に安全を提供するのに料金設定は可能な限り低く抑えるということです。当初は赤字で会社が潰れそうでした。
しかし、地震予測の正確性が週刊誌などで話題になるとともに顧客が増えて20000人になりました。経営が何とか成り立つ段階まできました。
地震予測は、一歩間違えば世間を騒がせたと袋叩きになってしまいます。地位も名誉も失うことになります。でも村井さんは、意に介していません。
社会のためになるのならば、何を言われようとも構わないというピシッとした姿勢が貫かれています。凛とした研究者の気概に感動しました。
防災月間の9月、救急の日の9日に村井さんをお呼びして講演会を開催します。足柄地域の1市5町の賛同が得られましたので共同開催となります。
場所は、神縄、国符津・松田断層がすぐそばを走る大井町の生涯学習センターのホールで行います。興味深いお話しをして下さることは間違いありません。