砂防事業から見えてくる日本の危機
神奈川県の砂防事業が100周年だと知りました。
21日開成町にある神奈川県足柄上合同庁舎で記念講演会がありました。
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/124966/20251121_kinenkouen.pdf
とはいってもそもそも砂防という言葉を知っている人は少ないでしょう。
沢にえん堤を設置して山から土砂の流失を食い止める事業です。
日本で近代的な砂防事業が始まったのは明治になってからです。
砂防法案が提出されたのは1896年でした。
ここで多くの人たちが抱いているであろう誤解を解きます。
江戸時代は自然が豊かで近代になり開発が進み自然が破壊されたという歴史観です。
平野においては確かにその指摘は当たってます。
しかし山林においては違います。
明治初期の山林の写真を見たことがある方は知っていると思います。
江戸時代の山林ははげ山が目立ってます。
人々が山に入り燃料用に樹木を伐採してしまうからです。
洪水の原因のひとつです。
明治になってこの状況を食い止めようと導入されたのが砂防事業です。
山林環境を回復させ人々の安全を守るために始められました。
1923年の関東大震災で大きな打撃を受けました。
丹沢山が典型的ですがいたるところで土砂崩れが発生しました。
この処理のための砂防事業が急がれたのですがそれを妨げたのは戦争です。
戦後になり再スタートとなりました。
今度は経済の高度成長で砂防事業は再び新たな対応が迫られました。
住宅地の急拡大で山すその住宅地を守らなければならなくなったからです。
さらに近年になって新たな危機に直面してます。
気候変動により強烈な雨が降り注ぐ時代になりました。
これまでの砂防事業では対応しきれません。
大地震でも発生したらと思うとぞっとします。
国土強じん化が叫ばれていますが容易なことではありません。
ほとほと日本は危機のデパートだとの思いを新たにしました。

