「恨みに報いるに徳を以てす」


法政大学名誉教授の王敏さんと知り合って15年です。
開成町長時代に神奈川県主催のシンポジウムでご一緒したのがきっかけです。

王敏さんは才媛です。
1972年の日中国交正常化後最初の留学生で宮沢賢治や周恩来元首相の研究者です。

11月久しぶりに王敏さんとお会いしました。
東京・中央区に周元総理の記念碑が建つのに合わせて来日した周元総理の姪の接待をされてました。

王敏さんは周元総理の日中友好への努力を一貫して伝えてきました。
しかし現在の日中関係は厳しく王敏さんの思いとはほど遠い状況です。

日中国交正常化の立役者の周元総理はひとつの物語を中国国民に示しました。
日本国民も中国人民と同じように日本軍国主義の被害者であるとしました。

明らかに事実と異なります。
日本人は日米開戦に熱狂し軍部の勢力拡大を下支えする役目を果たしました。

周元総理はフィクションであっても中国人民を納得させるためには止む得ないと考えたはずです。
それだけ日中国交正常化に賭ける思いが強かったのだと思います。

強大化した現代中国は自己主張の時代です。
世界文明の中心であるとの中華思想の復活がうかがえます。

ますます日中関係はけんのんになります。
改善したくても日中双方に人財がいません。

周元総理の政治哲学は「恨みに報いるに徳を以てす」です。
周元総理が生きていればふところ深く振る舞うと思います。

今日の中国の経済発展は日本の協力があったことを語りあつれきの緩和を促すと思います。
現代中国に周元総理のような人物がいないことが溝を深めてます。

状況は日本も全く同じです。
ここに危機の根っこがあります。

日中関係は楽観できません。
2026年、日本外交の最大の懸案です。