町遺族会主催の平和の集い
終戦の日は、毎年遺族会の一員として開成町内の神社の境内にある慰霊塔の前で戦没者に黙とうを捧げます。正午のサイレンの音色が悲しく聞こえます。
開成町の遺族会は、追悼式に続いて平和の集いを例年開催します。私が町長だった時、一般の方も参加する催しをして欲しいとお願いしたのがきっかけです。
戦争体験を聞く会、朗読劇、映画の上映会、毎年毎年工夫を凝らして開催しています。遺族会が主体となってこうした催しを開くことは稀だと思います。
今年は、パソコンで映像を映しながらの朗読でした。実は、聞くのがつらくて参加するかどうかためらってました。犠牲になった象の話しだったからです。
上野動物園で飼育されていたトンキーら3頭の象が空襲で動物園が破壊され動物が逃げ出したら危険だということで殺処分にされました。
子供向けの絵本で初めて読んだ時、涙が止まらずに読み進めることができませんでした。昨日も心の中で耳を塞ぎながら時間が過ぎるのを待つ状態でした。
象を餓死させるために餌を与えません。するとトンキーらが餌をもらうために芸を一生懸命にします。このシーンを聴くのがつらいです。
朗読して下さったのは瀬戸屋敷で子供たちへの朗読ボランティアをしている劇団ポポの皆さんでした。お隣の南足柄市のグループです。
活動が評価されて文部科学大臣賞を受賞したということでした。団長さんは女性の方です。良く存じ上げていますのでお祝いの言葉をかけさせていただきました。
もう一つの朗読は、敗戦後日本の食糧事情が急速に悪化したのを救おうとアメリカから救援物資を送ることに尽くした日本人の物語でした。
浅野七之助という方です。浅野さん自身も戦前アメリカで強制収容されたり厳しい環境に置かれました。戦後祖国の窮状をラジオで知り立ち上がったということです。
浅野さんの奥さんが南足柄市のご出身だということです。奥さんの親族の方が資料を整理され一冊の本にまとめられ事実が明るみになったということでした。
目に見えないところで珠玉の活動をされている方はいられます。有名であるか否か、地位や肩書があるかどうかではありません。いかに生きるかです。
集いの前の来賓あいさつで府川開成町長が来年は開成町制60周年なので遺族会の平和の集いを支援して記念の年に相応しい催しにしたいと話していました。
遺族会では若い世代で戦争問題に関わっている方の講演と実際に戦争を体験した世代の方の話しとを組み合わせたいと話していました。
もう一人の来賓の小林開成町議長は、安倍政権が集団的自衛権の行使の容認をしたことに触れていました。戦争を自らの問題と意識するようになっています。
昨今の内外情勢の変化は逆に言えば、日本では他人事だった戦争と平和の問題を真剣に考えるチャンスです。60周年に相応しい平和の集いにして欲しいです。