未病産業というネーミング、希望がイマイチ湧きません。

神奈川県の黒岩知事はタイトルへのこだわりが強いことは確かです。毎月1日の発行される「県のたより」の9月号を見て改めてそう思いました。

江の島の伝統芸能の記事が大々的に載っていました。「舞いおどる伝統と現代のコラボレーション カナガワリ・古典プロジェクト」とのタイトルでした。

カッコイです。地域の宝物の伝統的な文化遺産を過去のものとしてではなく現代に生きる文化芸術として再発進していく思いが込められています。

再びを意味する英語「Re」を「リ」と表現して「リ・古典」としました。いささか難しすぎますが、こだわりは伝わります。

タイトルではありませんが、黒岩知事の一押しのネーミングが「未病」です。東洋医学で言うところの病気になる一歩手前の状態「未病」に着目しました。

「未病産業」という言葉も盛んに打ち上げられています。本当の病気になる前に食い止めて健康な身体を取り戻す産業を興しましょうということです。

医薬品や健康食品に限定するのではなく緑を活用したセラピー産業、薬膳を使った観光など幅広い概念で捉えているところに特徴があります。

神奈川県西地域活性化の柱の一つとして黒岩知事が意欲を示しているのが未病産業の集積です。神奈川県経済の東西バランスを取り戻す一助にできるかどうかです。

県西部活性化に弾みをつけるために再検討してもらいたいのは「未病」というネーミングです。イメージが今一つだと思います。

率直な言い回しをすれば半病人みたいな印象を与えてしまいます。未病産業と言われても活力とか元気が湧き出る感じにはなりません。

ロボット特区とかヘルスケア・ニューフロンティア特区などと聞くと未来に向けて動き出している躍動感があります。未病という言葉には拓く感じがありません。

県西部地域が仮に未病特区になったとしても盛り上がって行かない感じがしてなりません。停滞感がより一層強まるイメージさえ出てきてしまいます。

県西部は世界の箱根、歴史と文化の小田原、西丹沢の緑、足柄の清流などなど地域資源の宝庫です。訪れた人たちがホッとし癒され活力を取り戻す場です。

豊かな自然環境と両立する産業を創造していく必要があります。農業と観光を結び付け共存共栄の関係にしていくことが典型的な事例です。

私たちが取り組んでいる酒蔵の再生もそうです。そこに薬草と最先端の製薬技術を組み合わせて新産業を興そうと提案を続けています。

その新産業が未病産業として括られますと逆にイメージが悪くなるように思います。未病の産業化を目指すのならば、清新なキャッチフレーズが欲しいです。

健やか産業では陳腐ですし、グリーン産業では方向が違いますし…。健やか未来産業…。とにかく何か別の名称を考えて欲しいと切望します。