GPS測量の世界的権威からの警告

20140820_144055_resized

(写真は、村井俊治東大名誉教授。8月20日大井町相和小学校での特別授業)

GPSを活用した地震予測に挑戦している東大名誉教授の村井俊治さんの講演会が、昨日、大井町でありました。刺激を受けました。

平日の午後で期待していたほど参加者がありませんでした。150人ほどでした。主催者の一員としてはちょっと残念でした。

しかし、話の中身は素晴らしかったです。もっと大勢に人に聞いていただきたかったです。改めて講演会を企画したいと思いました。

村井先生の話しは単純明快です。日本は1300もGPS測量の電子基準点があるのでこの観測網を活用しない手はないというものです。

衛星からの電波で位置を正確に測る技術の精度は上がる一方です。軍事衛星は人の顔までくっきりわかるレベルだということです。

地表面の水平、垂直方向の動きを正確に把握することができます。この動きが異常をきたした時に注意すれば良い訳です。

村井先生の解析ですと4センチ程度動いたあたりから注意が必要だということです。一定方向に動くこともあれば異なる方向もあるということです。

3・11では宮城県女川では横に4、5メートル(東北の方向)動き、1メートル以上沈んだということです。天地動乱です。

これではコンクリートはひとたまりもありません。一見強固に見えるコンクリートですが地盤が激しく動けば脆いと注意喚起されてました。

津波が最大5メートルだと予測して堤防を6メートルにしたところで地盤が1メートル沈んでしまえば意味を成しません。素人でもわかります。

村井さんが再三にわたって強調していたことは、思い込み、先入観から離れてあるがままに自然の動きを観察して備えようということです。

活断層があるから危険でないから大丈夫などということは思い込みに過ぎないと言われてました。あってもなくてもデータを見て備えることです。

活断層を過度に怖れることもない代わりに侮っていればしっぺ返しを受けます。地表の動きに目を凝らしていくように再三言われてました。

講演終了後、質疑応答の時間がありました。松田町も本山博幸町長が質問しました。GPS計測で土石流は予測できるかという内容でした。

村井先生は、理論上は可能だと言われてました。観測網をどう強化するかとそのデータを解析する拠点をどう作るかが問題だということでした。

確かにそうです。GPSの精度を考えれば土石流危険地帯に設置して精密な観測システムを作れば危険性は把握できそうだと思います。

しかし、設置には一台200万円はする基準点を増設する必要があります。危険性を把握するには分析する人がいなければなりません。

足柄地域も山と平野が迫っていて沢筋がある地域があります。松田町はそうした場所を抱えています。山北、南足柄、小田原もそうです。

想像を絶する短時間の雨量の雨が頻発しています。事前に地表面の動きが把握できて危険性を察知していれば人的な被害は防げます。

GPSを活用した災害予測は可能性があると思いました。予測は不可能という思い込みは捨てて国を挙げて対応すれば活路拓けそうです。

問題は、こうした新分野への税金投入に慎重な行政にあると思います。コンクリートの巨大な擁壁を作るよりはるかに安上がりなのですが…。