モノづくりの神様の話しを聞きました。
京成上野駅から7つ目の駅の名前はお花茶屋駅です。懐かしくもあり華やかさもある名前です。すっかり気に入りました。
典型的な下町です。歩いて5、6分のところに杉野ゴム化学工業所という町工場があります。杉野行雄社長と1時間余り懇談できました。
杉野さんは、常人ではととも思いつかないような知恵とそのアイデアを安価に実現させてしまう匠の技の持ち主です。
深海を探査すると聞けば、誰だって人が入ることのできる有人探査船を開発する何百億円のプロジェクトを想像してしまいます。
杉野さんはガラスのボールの中に小型カメラを入れ込んでタイマーでスイッチオンオフをして深海を撮影できると思い立ちました。
杉野さんだって最初は高価な金属を加工して沈める探査機を考えました。しかし中小企業の財力ではおカネが回りません。
そこからガラス玉に発想が飛ぶところが良くわからないのですが海で浮いているガラス製の浮からヒントを得たという話でした。
中小企業仲間に呼びかけてあーでもない、こーでもないとワイワイガヤガヤやりながら5年かからずに昨年11月に深海調査をやってのけました。
深海調査機は簡単に抱えられる大きさです。市販の小型カメラを搭載しただけです。7800メートル以上潜って撮影できます。
ちなみにカメラはソニー製でした。業績不振にあえいでいるソニーですが小型カメラは優れものだということを証明しています。
江戸っ子1号と名付けられました。粋な名前です。1000万もあればできますと言い切っていました。仰天しました。
何百億円のプロジェクトと負けず劣らずのデータが超安価で得ることができます。こういった仕事こそ評価されるのが本来です。
杉野社長は、解決策はあるのに思い込みを持っているとなかなかその解決策にたどり着かないところに注意する必要があると話してました。
とても大切な指摘です。柔軟な発想とはこのことです。思い込みを外すことで解決策が見えてくるとアドバイスしていただいたと思いました。
神様みたいな杉野さんでも失敗すると言います。それは欲が出た時です。もっとできると無理した時は上手く行かないということでした。
モノづくりの神様の話しは、わくわくしました。海洋探査の世界はこれからですので江戸っ子1号の未来は輝いていると確信を持ちました。