日本の北朝鮮への独自外交とアメリカ

北朝鮮は、小国でありながら核開発のみで日本、アメリカ、中国、韓国など周辺諸国を振り回します。したたかといえばしたたかです。

今回は、拉致問題の調査報告を巡って、安倍総理がはめられたのではという疑念を抱くようなやり口です。先行き心配です。

9月には、拉致に関する第一次の調査報告があると期待していました。ところが調査は初期段階だとして先にずらしてきました。

安倍総理側の焦りを誘って譲歩を引き出そうとしているようにも見えます。安倍総理は心中は、恐らく穏やかではないでしょう。

北朝鮮の拉致問題の解決に勝負をかけているからです。昨日もテレビで総理自らがぶら下がり取材に応えていました。

北朝鮮というと私は1990年9月の金丸訪朝団のことを思い出します。NHKの記者として同行取材するという貴重な経験をしました。

金丸信さんは、日本の政界の最高実力者でした。北朝鮮の当時の金日成国家主席は、日本に対し国交正常化提案をしました。

経済の苦境を日本からの援助でしのごうという狙いがありました。金丸さんはこの提案に乗り正常化に向けて話し合いが始まりました。

アメリカ、韓国、日本国内の保守勢力から反発が強まりました。金丸さんは、その後不正蓄財問題で摘発され政界から去ることになりました。

私はこの一連の取材体験から北朝鮮問題に手を触れて日本が独自外交をしようとすると何かが起きるという不気味さを持つようになりました。

日本が独自に北朝鮮問題に関わることがアメリカの虎の尾を踏むことにつながっているのではないかという見方をするようになりました。

北朝鮮は、アメリカ外交のいわば聖域で、同盟国といえば聞こえは良いですが事実上属国的立場にある日本の口出しは許さないという姿勢です。

北朝鮮という核の脅威がなくなれば日本の軍備は相当に軽減されます。巨額な費用を費やして迎撃ミサイルの配備も要りません。

軍事ビジネスの視点から見れば北朝鮮の存在は貴重です。脅威の発信源があって初めて商売が成り立つのですから。

日本が北朝鮮に乗り込んで仲良くなって武器が売れなくなったら一大事です。ですから邪魔者は叩かれる訳です。

かの小泉純一郎総理だって北朝鮮問題に手を染めてからアメリカへの従順ぶりは尋常ではないと私の眼には映りました。

2003年のイラク戦争への自衛隊の派遣は、北朝鮮問題に独自に手を突っ込んだため忠誠を示す必要があったと思えてなりません。

安倍総理は拉致問題で独自の外交を展開しています。北朝鮮がじらし作戦を始めました。その裏にアメリカの意図があるのではないでしょうか。

アメリカが安倍総理の独自外交を好ましくなく思っていて、その意図を察知した北朝鮮が変化球を投げたという見方です。

北朝鮮に独自外交を展開するとアメリががらみで関わった政治家が苦境に陥るという私の直感に過ぎません。でも不気味な感じが消えません。