橋下市長、大阪都構想の住民投票を強行突破の予感

市長:橋下 徹

(橋下市長 大阪市ホームページより)

昨日の神奈川大学の政策過程論は、橋下大阪市長の政治手法について講義しました。橋下流は、一般的な政策実現の手法とは全く異なります。

小沢一郎さんと小泉純一郎さんのやり方を取り入れていると思います。数を重視しつつ民意を背景に押し切るやり方です。

2009年8月民主党が政権を奪取しました。権力の絶頂にあった小沢一郎民主党幹事長に大阪府知事であった橋下徹さんは接近しました。

小沢一郎さんの発する権力者のオーラに強く惹かれているように思いました。当時、私は橋下さんと交流がありました。

小沢手法は、一言で言えば政治は数だということに尽きます。数を集めるためには手段を選びません。単純明快です。

目的は、権力奪取です。こちらもシンプルです。権力を奪えなくては何もできないという透徹した考え方です。

橋下さんは小沢さんを真似ました。大阪維新の会を形成して自らが首長となるとともに議会における多数派工作も同時進行でした。

数を押さえれば後は何とでもなると考えたと思います。実際に一時の勢いはもの凄かったです。大阪を席巻していました。

もう一つ橋下さんが戦術に取り入れたのは、小泉純一郎さんの民意を喚起するやり方です。敵を作りこれで良いのかと絶叫します。

マスコミが取り上げます。更に絶叫します。エスカレートします。この繰り返しで熱狂的な熱気を盛り上げます。

この熱気がとてつもない破壊力を持ちます。2011年11月の大阪府知事と大阪市長のダブル選挙の圧勝を見れば判ります。

議会内では、数の重視で多数派工作、議会から外に出れば民意の喚起。この二つを武器に橋下維新革命は進行しました。

当面の目標は大阪都構想の実現です。現在、大阪府議会と大阪市議会で構想案が審議中です。可決される見通しはゼロです。

強引な手法がたたり多数派工作が失敗しました。大阪維新の会の一人相撲では議会を制することはできません。

となると頼みの綱は民意です。今年2月に出直し大阪市長選挙を強引に実施したのも民意を喚起したかっただからだと思います。

議会内で数が足らなければ民意に訴えて正当性を得ようと試みた訳です。出直し選挙は大政党が対抗馬の擁立を見送りました。

橋下市長はピエロみたいに一人芝居を演じたと評価されました。しかし、橋下市長にとっては正当性を得るために選挙は不可欠です。

大阪都構想は議会内の多数派工作においては圧倒的に不利です。しかし民意はというと違います。最新の世論調査は支持が上回ってます。

読売新聞が10月の初めに調査したところでは、大阪都構想に賛成、どちらかといえば賛成は53パーセントとなっています。

私は、この数字を見て橋下市長は強引に民意に訴えてくると直感しました。議会が構想案を否決しても全く無視すると思います。

否決された後で議会は民意を無視していると叫び出すと思います。住民投票で決着をつけるのが民主主義だと言い出すでしょう。

スコットランドを持ちだすかもしれません。住民投票を実施するには議会で賛成を得なくてはなりません。数が足りません。

大阪市だけを対象にするならば大阪市議会、大阪府全体でやるのならば大阪府議会で賛成を得なくてはなりません。恐らく大阪市だけでしょう。

議会が賛同が得られなくても強行突破する手段を首長は持っています。地方自治法の179条の専決処分です。やってくると思います。

議会が本来の機能を果たさないので大阪市長が代わりに決定するという論法です。地方自治法で認められています。

鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が高すぎる市職員給与を強引に切り下げた時に使った手法です。橋下さんならやりますね。

しかも竹原さん以上にカリスマ的な期待感が残っています。最後の賭けに出ない方が不思議です。再び大阪から目が離せなくなりました。

首長と議会。橋下さんは、議会を悪者にし過激な演出をするでしょう。民意がどっちに振れるかは全く不透明です。

民主主義とは何かを考える格好の題材を与えてくれます。橋下さんは独裁者になりませんと目標は達成できません。それで良いのかが問われます。