福島県知事選挙を受けて

2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の大事故から3年7か月余りが過ぎました。

福島県外の避難者が4万6600人、県内の避難者が78000人いられます。福島県内の仮設住宅の戸数は12781戸です。

なにせ相手は目に見えず人体に悪さをする放射能という厄介な代物です。大災害の傷跡がいつ癒えるのか明確な見通しは立てられません。

福島県は、国が国策として推進してきた原子力政策の犠牲となったとも言えます。国に対する怒りが今現在も激しく燃え盛っても不思議ではありません。

福島県知事選挙で前職の後継者の副知事が当選しました。自民、民主、公明、社民の各党が推す事実上のオール与党候補でした。

投票率は45.85パーセントで過去二番目の低さでした。争点もはっきりせず盛り上がりに欠けた選挙だったと総括されます。

政府、自民党は、日本全体では原発再稼働にシフトし原子力に依存するエネルギー政策を堅持する姿勢を明確に示しています。

しかし、福島県ではさすがにそのような政策を前面に打ち出すことはできません。原発を争点とせずに生活再建を前面に出しました。

脱原発を徹底したい候補は複数に分かれました。福島県は広いです。被災地ばかりではありません。万遍なく票は取れません。

結果としてオール与党の副知事が当選したということだと思います。日本の国策を問う要素もあったのに静かな選挙に終わり、奇妙な感じです。

全ての候補者が福島県の原発の廃炉は訴えました。少なくとも福島県は脱原発、廃炉で一本化したということは事実です。

政府もこの重みは受け止めなくてはなりません。これまで福島県は首都圏への電力供給拠点に過ぎませんでした。

福島県にあるのに原子力発電所だけは東京電力の所有です。不可思議です。原子力発電所のある地域は切り取られた特殊な地域です。

国策で切り取った地域は無論めちゃめちゃになりました。放射能汚染は、その範囲に留まりません。周囲に拡散しました。

安倍総理はアンダーコントロールと発言しましたが福島第一原発をめぐる深刻な事態が改善されているとは到底思えません。

私はこの深刻な事態において現行の地方自治の仕組みは相応しくないと思っています。市町村、福島県、国の三層構造では強力な対応ができません。

国の復興庁の本部は福島に移して少なくとも復興を担当する部署は国と県が一元化して対応することが不可欠だと思えてなりません。

本来ならば原子力に関わる担当部署も一本化し、全て国と県が一体となって対応する体制を整える必要があると思います。

コントロールタワーは東京霞が関にあり、福島に出先があって間に県が入り、市町村もあるという体制で迅速果敢な対応は取れません。

小泉進次郎さんは、人寄せのために全国を飛び歩くのではなく福島にへばりついて復興政務官の本来の任務に当たって欲しいです。

復興庁と福島県の復興担当部署の一体化のシンボルとなって泥まみれになって働くのが筋です。間違いなく将来の総理候補となります。