住民と学校とが一体となってかすみ堤を守る。
22日の土曜日、素晴らしい青空が広がりました。酒匂川のかすみ堤の清掃活動の日でした。私も守る会の一員ですので参加しました。
かすみ堤とは堤防をつなげずに人工的にきざみを入れて二重になった堤防のことで洪水の時に逆流した水の遊水地の機能を果たします。
戦国時代から江戸時代にかけての治水技術です。足柄平野を流れる酒匂川の古地図には無数と言ってよいほどのかすみ堤が記載されています。
当時の土木技術では水を完全に防ぐことができませんから洪水の時はわざと氾濫を起こして柔軟に対処しようという発想だったと推測されます。
近代土木技術が進みコンクリートの土手ができたためにかすみ堤は姿をほとんど消しました。酒匂川には右岸に三カ所だけ残っています。
全国的に見ても貴重な土木遺産です。昨今再びかすみ堤に光が当たっています。ゲリラ豪雨の時に立派に遊水地の機能を果たしました。
2010年9月の豪雨の時はかすみ堤から逆流した水で遊水地が満水となりました。徐々に逆流して徐々に流れて行きました。
かすみ堤の機能がなかった下流部の小田原市内は堤防を水が乗り越えて洪水をもたらした可能性もあったと思います。
そんなかすみ堤を守ろうと開成町と小田原市の住民有志が守る会を立ち上げて一年に2回程度ですが清掃活動を行っています。
今回は小学生が何人か朝早くから来ていたので不思議に思っていたら何と一緒に清掃活動を行うために集まっていました。
開成南小学校では4年生がかすみ堤の授業を行っています。先生役は治水の歴史に詳しい町の住民の方で、かすみ堤を守る会の中心メンバーです。
開成南小学校の先生も4人ほど参加され先生の子供も一緒にお手伝いをしていました。総勢何と29人になりました。
子供たちが一緒ですとワイワイガヤガヤ賑やかで楽しいです。先生をからかっていたりして面白かったです。作業が楽しくなります。
土手の石積みの間から草が生えてきてこれを抜き取るのが一苦労です。雑草は力強く根を張ります。作業しながら感心してしまいます。
根が入り込みと洪水の時に水が染み込み土手の強度を弱くしてしまうので抜いた後、本来ならば表面をコンクリートで覆った方が良いです。
かすみ堤は、過去の遺産ではなく今まさに役立つ現役の土木施設ですので管理者の神奈川県にきちんとした対応をお願いしたいところです。
富士山の噴火もあり得るとされています。噴火の砂が河川に流入すれば洪水のリスクは一気に高まります。かすみ堤は有効な手立てです。
詳細に調査して場合によっては連続堤を一部壊してかすみ堤を新たに設置することもありではないかと思うほどです。
堤防の嵩を全て上げるなんてことは財政上できません。ならば無理して防ぐのではなくある程度洪水も許容して柔軟に守る方が得策です。
住民と学校が一体になってかすみ堤の勉強をしてきました。今度はその成果をもっと発信してかすみ堤の整備へとつなげる時期です。
富士山の噴火と合わせて勉強すれば、神奈川県に対し明確な提言まで持って行けるのではないでしょうか。大いに期待します。