美しい演説は、成果を残してこそ評価されます。

勝利演説を行うオバマ大統領 - メガピクチャー - goo ニュース

(オバマ大統領 ヤフー画像より)

演説が得意だと、時に自分の口から発せられる美しい言葉の言い回しや響きに自分で酔ってしまうことがあります。

政治家にとっては危険極まりない兆候です。お酒と同じで現実逃避の手段ともなります。しゃべるだけで現実になったと勘違いしがちだからです。

理想を美しく語ることは聴く人をもうっとりさせます。力こぶを振り上げて語るのではなく自然体で心を喚起させるからです。

こうした弁論術を駆使するスーパースターがアメリカのオバマ大統領であることは大方の人が納得されると思います。

時に柔軟に時に激しく、リズム良く繰り出される言葉の連射は聴衆を魅了させてきました。チェインジ!。イエスウィキャン!。

オバマ語は、日本語になったかと思うほど日本国内でも伝播しました。オバマブームが日本でも巻き起こった言って良いと思います。

ところが6年後のオバマ大統領を取り巻く環境は、熱狂とは程遠い状況です。過日のアメリカ上下両院の中間選挙で完敗しました。

政治は演説ではなく実践であることをこれほどまざまざと示した事例は少ないと思います。美しい言葉に酔うのは自己満足に過ぎません。

政治とは実践です。実績を結果として残すことに他なりません。着実な実践と成果を残すことが美しい演説の説得力を増すことにつながります。

美しい演説だけでは、全くの片手落ちです。美しい演説は序章に過ぎません。美しく語ること自体が目的となってはなりません。

昨日の神奈川大学の地域制持論の講義で北海道夕張市を取り上げました。600億円を超える借金を抱え財政破綻したあの夕張市です。

北海道の厳しい現状を知るには格好の事例と考えました。石炭の都として栄えた夕張はエネルギー革命に翻弄されました。

11万人あった人口は現在1万人を切っています。この厳しい現実に立ち向かおうと元東京都職員の鈴木直道さんが市長に就任しました。

今33歳、来年4月が一期目の任期です。夕張市のホームページから鈴木市長の言動を追いかけてみました。美しい演説がすぐ見つかります。

純粋な思いで夕張の現実は厳しいけれども可能性を信じてともに歩みましょうと市民や議員や職員に呼びかけています。

気がかりは4年間の実績が響いてきません。美しいスローガンを繰り返しているように文字の記録からは受け取れます。

瑞々しい挑戦が潰えてしまわないようにと心配です。万が一鈴木市長が美しい演説が市長の仕事と思っているとしたら直ぐに修正して欲しいです。

大きな理想を掲げることは良いことです。しかし理想を実現するのは一歩ずつしか進めません。着実に現実を変革して行く必要があります。

小さな実績が大きな実績へとつながるようデザインしていくことが首長の腕の見せ所です。鈴木夕張市政にはここが欠けているように見えます。

政治は、実践してなんぼの世界です。どんなに美しい演説をして聴衆を魅了しようとも成果を残さない限り美し戯言に終わります。

地方政治は住民に身近です。それだけに語った理想の実現が厳しく求められます。首長を目指すならこの大原則を忘れないで欲しいです。