資本主義の終りの時代に備える。
今度の衆議院選挙の最大の争点はアベノミクスです。異次元と称される金融緩和で株高を呼び込む一方、公共投資で景気を支えます。
この間に将来の成長を期待される新たな産業を興していこうといういわゆる3本の矢路線です。現状は、消費につながらず苦戦しています。
景気が良くなるから消費税を8パーセント、10パーセントと増税しても大丈夫ということで4なりを組んでいました。予測が狂いました。
解散総選挙で台本の狂いを吹っ飛ばそうというのが現状です。10パーセントの増税は先延ばしするけれども必ずやるという言い訳です。
多くの皆さんが増税は先送りしてくれたのはいいのだけれども本当に景気は良くなるのだろうかという不安感を感じていると思います。
しかし、もう少しアベノミクスの行くへを見るとするかという人が多いのではないでしょうか。与党の優勢の背景の一つだと思います。
誰しも不安感の根本原因は何かを知りたいと思います。手がかりを得るための格好の本があります。新書です。易しく書かれています。
日本大学教授の水野和夫さんが書かれた『資本主義の終焉と歴史の危機』です。集英社新書です。ぜひ手に取って読んでみて下さい。
水野さんは元々メガバンクのエコノミストです。グローバル資本主義の本質について鋭い分析をされていてずっと注目していました。
水野さんが結論めいたものを本当に噛み砕いて出された著書が上記の新書です。難しそうに見える話を極めて判り易くまとめてあります。
資本主義の本質は、資本をどんどん増殖させることです。余ったお金を投資しておカネを増やして行くことです。
現状はその本質が地球上を覆うがごとく勢いを増して儲かるところへと資本が殺到しています。グローバル資本主義と称されています。
厄介なことに土地や建物、事業への投資だけではなくおカネそのもの、国際的な金融取引も投資の対象となりその金額は膨大に膨れてます。
グローバル資本主義の世の中にあって日本は極めて特異な位置を占めています。いくら投資してもあまりもうからない国になっています。
儲かるかどうかの指標は水野さんによれば国債の金利だということです。ここ20年来超低金利の時代が続いています。
おカネはだぶついているのですが長期金利の上昇は見られずに金融機関は政府が発行する国債をせっせと貯め込んでいます。
どんな手を打っても長期金利が上がらないということは資本主義の持っている儲かると心に投資するという本質にとって都合が悪いです。
日本経済は一つの定常状態に入りつつあるというのが水野さんの分析です。資本主義が終わろうとしている現象が現れているというのです。
私は、水野さんの本を読んでいて、これが現代の危機の根っこのあることだと直感しました。グローバル資本主義が末期を迎えているのです。
確かにカネさえ儲かればよいと世界中を荒らしまくってそれで世界が持つ訳がありません。いつか終焉の時を迎えるのは止む得ません。
問題は、どんな形でグローバル資本主義の時代が終わるかです。大恐慌でのたうち回るのか、それとも静かに退場するのかです。
現在の状況は、明らかに前者の可能性が高いことを示しています。世界中で儲かれば良いというあこぎな経済の勢いは止まっています。
水野さんは中国の過剰投資にバブルがはじけることを懸念しています。日本だってアベノミクスの行き過ぎは同様のリスクをゆうして