傲慢ではなく謙虚さこそが国を活かす道。

総選挙が終わりました。朝日新聞の見出しは、自民と公明の与党が大勝と書かれていました。ちょっと違和感がありました。

自民党は議席数を3減らしています。公明党は、4増やしています。自民は微減で公明は微増。2党合わせて微増が正確な表現です。

自民党が大勝と表現するためには単独で300の大台に乗ることが必要です。しかし、自民は、議席数を減らしました。

民主は、11議席を増やしています。数字をそのまま受け止めてそれなりの善戦と捉えても良いのではないかと思います。

党首の海江田万里さんが落選しました。過去の人となりました。代表選を行って新陳代謝をするための好機です。

維新も善戦です。橋下徹市長の神通力に首を傾げる人が増えてきたところでマイナス1議席は結構頑張ったと思います。

躍進と惨敗の明暗を分けたのは次世代の党と共産党です。次世代の党は17議席減らしわずか2議席となりました。

一方共産党は13議席増やして21議席です。この2政党だけを見比べると改憲タカ派勢力の後退、憲法9条死守勢力の躍進と見えます。

地域的に際立った特色を見せたのが沖縄です。自民党が小選挙区全敗です。これぞ衝撃的結果です。もっと注目しなければなりません。

安倍政権が命運を賭けている普天間基地の名護市辺野古への移設に対する反発、中央政府への不信が勢いを増しています。

共産党が沖縄1区で議席を得たことに目が行っています。共産党が勝ったと見るのは視野狭窄的な見方だと私は思います。

11月の沖縄県知事選挙で那覇市長だった翁長雄志さんを県知事に押し上げた保守と革新の枠を超えたオール沖縄体制の勝利だと思います。

安倍政権は、内心深刻な事態になったと思っているはずです。沖縄の意思を踏みにじって移設を強行しようとすると抵抗が激しくなるのは確実です。

福島県や北海道、私が注目していた地域では民主党や野党が善戦しています。福島県では小選挙区自民3人に対し野党2です。

北海道の比例代表の議席を見ると自民と公明で4議席、民主、維新、共産で4議席、与党と野党が同数です。与党大勝ではありません。

全国各地域別に得票数を含めた地域別の詳しい分析が必要です。与党が大勝したというイメージで思考停止してしまっては実態を見誤ります。

今回の選挙の最大の特色とも言えるのは戦後最低の投票率です。推定で52パーセント前後です。半分ちょっとの有権者しか投票に行ってません。

半数近くの有権者は様子見か無関心です。組織力がモノを言った選挙です。この後の政治の展開でどう転ぶか判りません。

安倍政権や自民、公明の与党を始め野党も含めて全ての政党は歴史的低投票率の中で議席を得たという事実は直視して欲しいです。

与党が現状維持の圧倒的議席を得たからと言って信任されたと考えず謙虚な姿勢で政治に取り組むことが不可欠です。

今後の暮らしの行方、近隣アジア諸国との外交関係、地方の再生、原発の再稼働をめぐるエネルギー政策の展開、全て重大課題です。

傲慢なごり押し政治は国の行方を誤ります。安倍政権と自民、公明の両与党の責任は極めて重大です。国民も目を凝らすことが求められています。