巨大与党の路線修正に期待したい…。
先に紹介した水野和夫さんの集英社新書、『資本主義の終焉と歴史の危機』を再び取り上げて日本を取り巻く状況について考えてみます。
水野さんの論によれば、現代の危機の本質は、資本主義が終わりの時期を迎えているという大転換期にあるということです。
資本主義が終わった後にどのような経済社会の構造になるかは明確ではありません。水野さんはだからこそ無理せずに備えろといっています。
備えるための2大目標は、一つは安価で安定したエネルギーの確保と、もう一つは、借金に頼らない財政の健全化です。
石油の輸入などエネルギー源の購入のために輸出で稼いだカネが飛んでいるのだから別の道を探るのは当然です。
一方、安いと言われ導入を進めた原発はいったん大事故が起これば取り返しがつかないこと、コストも決して安くないことが判明しました。
日本として原発とは違うエネルギー源の確保に全力を挙げるのは常識的判断です。産業と暮らしを支えるために国策の転換が求められています。
水野さんは、時代の大転換期にあって何があるのかわからない時期に財政がこれ以上悪化すると手を打つ余裕を失うと懸念しています。
これも常識的判断です。国と地方を合わせて1000兆円の借金がどんどん膨れ上がろうとしている現状は異常状態です。
このような状況の中で借金で公共投資をどんどん続けていったらいつか誰しもいつの時期か崩壊すると思ってしまいます。
日本国内には金融資産が1000兆円以上あって国債は国内で硝化されるので心配は要らないという意見もあります。
しかし日本では、勤労世代が減り高齢化は急速です。貯金ではなく取り崩して生計を成り立たせる世代の拡大を意味します。
国債の消化を外国に頼るようになればこれは危ないです。日本国の独立にも関わる課題です。おカネで首根っこを牛耳られてしまいます。
総選挙で巨大与党体制は継続となりました。日本国内でいくら強固な勢力を誇ったところで時代の大転換に翻弄されてしまっては意味がありません。
これまでのアベノミクス路線一辺倒でイケイケどんどんではなく謙虚に冷静に現状の再点検をして欲しいと切望します。
太陽光などの自然エネルギーの活用は日本の安全保障のためです。当座の電力会社の経営に目を奪われては進路を誤ります。
財政の健全化のために増税が必要ということで8パーセントに消費税を上げました。そのマイナスの影響が甚大であることがはっきりしました。
消費は拡大しません。実質賃金の低落傾向は止められていません。給与の引き上げを安倍総理は呼びかけていますが対応できるのは大企業だけです。
財政再建のための増税を弱者に負担の大きい消費税の税率アップばかり論議することに水野さんは異議を唱えています。
同感です。富裕層に対する税負担を増やしバランスを取ることが必要です。財政再建は消費税という思い込みからの脱却が大切です。
いったん掲げた旗は下ろしにくいかもしれませんが、そこをあえて行って修正する謙虚さを持ってこその巨大与党だと私は思います。