地方への国庫交付金創設、したたかな活用のススメ
このところ資本主義の危機といった大きなテーマについて語っています。話題が大き過ぎてピンとこない方も大勢いられると思います。
しかし、巨大過ぎると思われるテーマも実は身近な取り組みと密接不可分で一つ一つの努力の積み重ねによって改革するしかありません。
今度押し寄せてきそうな大転換は、どんな事態が引き金になるのか判りません。株価暴落によるパニック、あるいは武力衝突かもしれません。
いずれにせよ日本一国のレベルにとどまる混乱ではありません。最初の引き金が引かれる国や地域がどこでも一気に地球全体へと波及していきます。
2008年のリーマンショックが格好の事例です。アメリカ発の金融不安が一気に地球全体に波及していきました。
この時期大切なのは本来は大混乱に備えることです。先行きが判らないのですから。極端な政策は控えるのが賢明です。
バブル崩壊後景気対策はいつも史上最大規模という掛け声の下で実施されてきました。派手な割に効果を挙げていません。
日大教授の水野和夫さんは、景気浮揚ができないのは資本主義経済が末期症状なのだから刺激を与えても無駄だと言っています。
投資しても儲からないことが明らかになったと分析しています。ただ、だからと言ってじっとしていろと言っているのではありません。
無理な財政出動は控えて所得税の累進税率を見直して富裕層からもっと税収を得る税制改正とエネルギー政策の転換を主唱しています。
借金で火だるまの財政状況のままでは大混乱が発生してここ一番の政策を打ち出す時に財源がなければ何も手を打てないと心配しています。
真っ当な感覚です。財政再建の切り札だと主張してきた消費税の増税を先送りして大盤振る舞いで地方経済を支えようとすれば借金が残ります。
しかし安倍政権は水野さんに言わせれば効果のない方向に舵を切りました。衆議院選挙で与党は三分の二を獲得しましたので止められません。
このままでは日本自体が世界の大混乱を引き起こす火元になりかねません。さてさてどう対応すれば良いのか思案のしどころです。
私は地方の首長が知恵を絞ってしたたかに対応し経済の大混乱を避けて地域の経済をプラスにする一挙両得を狙って欲しいです。
後々の維持管理費用が嵩む公共事業は排除です。どうしてもというのならば国の責任でやってもらうように仕掛けた方が良いです。
税金ではなく民間事業として成り立たせて維持管理費用をねん出できるような官民協働の事業を選択することが必要です。
財源は、国が交付金を出すと言っているのですから、理屈をこねてでも徹底して国庫を活用した方が良いです。遠慮は要りません。
結果として将来の地域経済が盛んになり地域での雇用が増える方向でおカネが活きれば良いです。一時のバラマキの刺激は後に続きません。
何度も繰り返されてきた過ちを今度こそは避けなくてはなりません。地方の首長の知恵のあるなしが問われます。
間もなく政府は補正予算を出してきます。3000億円を超える地方への交付金が出ると報道されています。
首長がどれだけしたたかに立ち回れるか腕の見せ所です。カギは、将来の負担を最小にして効果は最大にするような事業を提案できるかどうかです。