私が、今年のNHK大河ドラマに乗れない理由。

今年のNHK大河ドラマは「花燃ゆ」です。昨年の「軍師官兵衛」の時は、ワクワク感があって次回が待ち遠しい感じがしました。

今年はそんな気に全くなりません。何が違うのだろうと首をかしげているところです。主人公がメジャーではなにのが理由の一つです。

明治維新の志士を輩出した松下村塾が舞台です。創設したのは国士、吉田松陰です。吉田松陰の名前は知っていても妹は知りません。

今回の大河ドラマは、吉田松陰の作った松下村塾を支えた松陰の妹が主人公です。全国的話題とするのは厳しいです。

1月4日、初回放送分の視聴率が、関東地方で16.7パーセントで過去10年間で最低の視聴率だったということです。

私が今年の大河ドラマに乗れないのは、もう一つ本質的理由があります。今の日本の時代に合っていないと思えるからです。

時代の先を読み駆け抜け散っていった吉田松陰の純粋な高い志と行動は、多くの方が評価されていると思います。私もそうです。

吉田松陰らは江戸幕府体制のままでは日本は西欧列強の植民地になりかねないと身を顧みず立ち上がりました。

松陰が世を去った後、松下村塾の門弟たちが明治維新で幕府を倒し明治新政府を樹立しました。お手本としたのは西欧でした。

資本主義、国民国家を導入しました。その後の歴史の動きは申すまでもありません。急速な発展と破滅、破たんを2度繰り返しました。

戦前は軍国主義の急展開と無残な敗戦。戦後は、経済の急拡大とバブル崩壊です。そして現在もなおその後遺症にあえいでいます。

金融中心のグローバル資本主義が地球上を覆い、格差の拡大が喫緊の課題となっているのにもかかわらず有効な手を打てていません。

今立ち止まって考えなくてはならないのは吉田松陰らが目指した方向は本当に正しい選択だったのかどうかだと思います。

一言で言えば脱亜入欧政策です。アジアを捨てて欧米に範を求める姿勢は明治維新以降、基本的方向性として堅持されています。

戦前も戦後も、いっとき日本独自で世界の覇権国となれるかのような幻想を持った時期がありましたがそれははかない夢でした。

結果としてアメリカ中心の世界支配の構造に浸かりながら日本の針路を考えざるを得ない状況にはまり込んでしまっています。

吉田松陰らは独立自尊の日本国を立ち上げるために身を投げ打ったのだと思います。しかし150年後の日本の現実は理想とは大きく異なります。

今我々が考えなければならないのは脱亜入欧政策の大転換です。日本の現状を見ればそうした政策選択の方向性は明白だと思います。

経済が躍進しているのはアジア諸国です。そこと関係を良好に保ちながら日本の良さを再発見する時期に来ていると思います。

もう一度明治維新の時点に戻り吉田松陰らが追い求めていた方向とは反転した方向に今範を求めるのが必要な時代だと思います。

吉田松陰らが旧弊だと捨て去ってしまった江戸時代の中に本当に優れた日本の在り方があるのではないかと見る時代認識です。

江戸をもう一度見つめ直して活路を見い出すことこそが今求められていると思います。時代は、吉田松陰を求めていないと思います。